タツノコプロのアニメ、『シンデレラ物語』の原作はシャルル・ペローの『シンデレラ』ですが、ディズニーの長編アニメ(1950)の『シンデレラ』と似ているところもいくつかあります。この記事では共通点を4点、紹介します。
敵役(かたきやく)としての継母の登場
ペローの童話では、継母はあまり登場しませんが、『シンデレラ物語』では、ヒロイン、サンドリヨンに敵対する役として、継母が大きくフィーチャーされています(全エピソードに登場します)。
継母が目立っているのはディズニーのシンデレラと同じです。しかも、その継母には愛猫がいて、継母はよく抱いています。
ただ、サンドリヨン自身は、継母を嫌ってはおらず、むしろ母親として尊敬し、愛情をもって接しています。ディズニーのシンデレラは、”Yes, stepmother はい、継母さま ”と継母に答えていますが、( 「まま母さま」なんて呼び方、日本語にはありませんが )、サンドリヨンは、一貫して、「お母さま(mère)」と呼んでいます。
また、継母が病気になったときは、サンドリヨンは継母を助けるために、危険を顧みず、薬草を取りに行きます。
サンドリヨンを助ける動物たちの存在
ディズニーのシンデレラに動物の友達がたくさんいるように、サンドリヨンにも、犬、ネズミ(2匹)、鳥という親しい動物の友達がいて、彼らは何かとサンドリヨンを助けます。
この動物たちは、ポーレット(魔法使い)の魔法により、人間の言葉をしゃべることができるので、サンドリヨンとコミュニケーションを取れます。ただ、ほかの人間とはしゃべることはしません。
いつもそばにいる鳥(パピー)は1羽だけですが、パピーは、仲間内に顔がきき、必要なときには、たくさんの仲間を呼んでサンドリヨンを助けます。
夢の提示とその実現
ディズニーのシンデレラでは、映画の冒頭、朝、シンデレラが鳥に起こされ、目覚めたとき「夢を見ていたのよ。え? どんな夢かは教えないわ。だって人(鳥ですが)に言うと、夢が叶わないもの」と言い、そのまま、A Dream Is A Wish Your Heart Makes(邦題:夢はひそかに)を歌います。こちらでこの歌の歌詞を訳しています⇒ シンデレラ(1950)より、『夢はひそかに』(A dream is a wish your heart makes)の歌詞の和訳
このシーンです。この動画はSing-Alongビデオなので、歌詞が表示されますが、映画には歌詞はでてきません。
そして、映画の最後に、シンデレラの夢だったらしいプリンセスになります。つまり、冒頭で「夢があるのよ」と夢の提示をし、最後にその夢が叶う構成です。
とはいえ、シンデレラが、プリンセスになりたいと思っていたかどうかはわかりません。シンデレラはそんなことは映画では何も言っていないと思います。何しろ、人に言ったら夢が叶わないのですから。ただし、私は、ディズニーのほうは、そんなに何度も見ていないため、誤解があるかもしれません。
『シンデレラ物語』でも、初回に、花祭りを見ながら、サンドリヨンが父親に自分の夢を語ります。サンドリヨンは、はっきりと自分の夢を口にします。彼女の夢は、1.たくさん友達を作りたい、2.宮廷に入りたい( dame de la Cour になりたい )の2つです。
dame de la Cour は、宮廷に出入りできる貴婦人になること、だと思います。
そして、最後には、王子さまと結婚して、夢を叶えます。
お城のデザインと所在地
『シンデレラ物語』に出てくるお城の形と、ロケーション(街のはずれ、北のほうにある)は、ディズニーのアニメとよく似ています。
ディズニーの城(最初のシーンに出てくる本の中のスケッチ)。小さな王国の北の奥まったところにあります。
こちらは『シンデレラ物語』に出てくるエメラルド王国のお城。
よく見ると形はそんなに似ていないかも? ですが、デザイン的には同じ種類のお城で、あまり防衛機能は重視していない雰囲気です。
まあ、お城は大きいですし、街の真ん中に建てたりはしないでしょうから、国が小さければ、所在地はだいたい似たようなものになるのかもしれません。
ほかにも、サンドリヨン(シンデレラ)が舞踏会に行く前に、継母とまま姉が邪魔をするところ、舞踏会は1回だけであるところ、靴の持ち主を探しにお城の人がやってきた時、継母がサンドリヨンに「部屋から出るな」というところなど、似ている箇所はいくつかあります。
ペローのストーリーが原作というより、ディズニー版を下敷きにしたといったほうが当たっているかもしれません。
ただ、ヒロインの性格はかなり違います。
というよりも、ディズニーのほうは、 継母やまま姉たち に比べて、シンデレラの性格描写はなされていません。大人っぽくて、お茶目でアメリカンな性格である、というのが私の印象です。
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