イェ・シェン(中国のシンデレラ)のあらすじ(1)

中国 シンデレラ

9世紀に著されたYe Xian(イェ・シェン)という「中国のシンデレラ」と呼ばれる話のあらすじを紹介します。英語圏では、わりと有名で、アニメにもなっています。作者不詳です。

父親が亡くなり継母にいじめられる イェ・シェン

昔むかし、中国の南の沿岸にウーという名前の、洞穴の長がいました。ウーには2人の妻がいましたが、ひとりは、女の子を生むと亡くなってしまいました。

この女の子はとても美しく、刺しゅうと糸紡ぎに抜群の才能を見せました。ウーはこの娘をとてもかわいがり、イェ・シェンと名付けました。

あるとき、ウーが亡くなって、 イェ・シェンは継母に育てられることになりました。この母親は、自分の娘よりかわいくて、頭もいいイェ・シェンを嫌い、つらくあたりました。

薪拾いや水くみといったきつい仕事をさせ、親子で、 イェ・シェンをからかったのです。しかしイェ・シェンはじっと耐え、言われた仕事をもくもくとしていました。

金色の目をした魚

あるとき、水くみをしていたイェ・シェンは赤いヒレと金色の目をしたかわいい魚を見つけました。魚が気に入ったイェ・シェンは家に持ち帰り、大きな鉢に入れました。 あまり食べものをもらえていなかったイェ・シェンですが、魚に食べものをわけて、大事にしていました。

この魚は日に日に大きくなり、鉢では間に合わなくなったため、 イェ・シェンは近くの池に放しました。 イェ・シェンが池に来ると、魚は池から出て挨拶をしました。この魚は、つらい毎日を送る イェ・シェンのたった1人の友達でした。

魚を殺す継母

魚のことを知った継母は、イェ・シェンが幸せになるのが許せなかったので、この魚を殺そうとしました。継母は、こっそりイェ・シェンのあとをつけ、魚の居場所を見つけましたが、魚はなかなか利口で、継母を見るとさっと池の中に隠れました。

そこで継母は一計を案じました。あるとき、イェ・シェンを家からずいぶん遠いところに、水をくみに行かせると、継母は、イェ・シェンの服を着て池へ行き、彼女の声真似をして魚を呼んだのです。

わなだと気づかない魚は、いつものように、 イェ・シェンに挨拶をしようと池から出たら、ザクッ! あっさり継母に刃物で殺されました。

魚の骨を大事にするイェ・シェン

継母は殺した魚を焼いて食べ、骨はゴミと一緒に埋めました。魚が死んだことを知ってびっくりしたイェ・シェンでしたが、池のはしで泣くことしかできませんでした。すると、泣いているイェ・シェンのもとに、髪の長い、粗悪な服を着た老人が空からおりてきました。

「泣くのはおよし。私はどこに魚の骨があるのか知っている。そこへ行って掘り起こして、大事に持っていなさい。困ったことがあったら、その骨に願いごとを言うといい。骨はきっと叶えてくれる。しかし、欲張ってはいけないよ。欲張ると神様のばちがあたる」。

老人は、イェ・シェンを空き家まで連れていくと、消えました。イェ・シェンは魚の骨を掘り出すと、安全な場所にしまいました。

老人の言いつけを守り、イェ・シェンはめったに骨に願い事はしませんでした。洞の祭りが行われるまでは。

続く…

イェ・シェンの話にはいくつかバージョンがあります。今回、私が参照したのは英語のイェ・シェンです⇒ https://www.slps.org/cms/lib03/MO01001157/Centricity/Domain/4081/Cinderella–Ye%20Xian–China%20ancient%20and%20modern.pdf

原文(漢文)は、私は、きっと読めませんし^^;、英語から訳す方が、難しい漢字が出てこず、わかりやすくなると思ってそうしました。 漢文系のイェ・シェンの話を書いているブログはほかにもたくさんあるでしょうし。

イェ・シェンの補足

イェ・シェンは、唐の時代に書かれた、酉陽雑俎(ゆうようざっそ)という、奇々怪々な話をたくさん集めた本に入っています。選者は段成式(だんせいしき)という詩人です。

この本には、中国だけでなく、インドやペルシアなど海外の話も入っており、魯迅(1881-1936)の愛読書だったそうです。そんな大昔の本を読むなんてすごいですね。

11世紀に書かれた源氏物語(文献初出1005年)より、200年近く古い本です。

ギリシャ時代にロードピス(Rhodopis)というシンデレラに似た話があり、これが世界最古のシンデレラという人もいますが、学者によって意見が別れており、ロードピスはもっとあとの時代のものだという人もいます。

イェ・シェンは、唐の時代の本にのっているとしっかりわかっているので、これが、世界で最初に本に書かれたシンデレラの物語と言えるかもしれません。

グリム童話の鳩ではなく、魚が助けてくれるのが中国っぽいですね。なお、イェ・シェンは、日本には、葉限(しょうげん)というオリジナルの名前で入ってきています。漢文が得意な人は読んでみるといいでしょう。

キンドル版の酉陽雑俎がありましたので、リンクしておきます(0円です)。ただし、酉陽雑俎はものすごくたくさん話が入っているらしいので、これに葉限が入っているかどうかは未確認です。あとで、ダウンロードしてチェックします。

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