ルンペルシュティルツヒェン(グリム兄弟、1857)のあらすじ

糸車 グリム童話

グリム童話の中から、ルンペルシュティルツヒェンという童話のあらすじを紹介します。「ルンペルシュティルツヒェン」って言いにくいです。ドイツ語の Rumpelstilzchenをそのままカタカナにしています。

英語では、Rumpelstiltskin(ランペルスティルスキン)で、多少読みやすくなっております。このルンペル~というのは、童話に出てくる小人の名前です。 私は、「ランペルちゃん」と呼んでいます。

ルンペルシュティルツヒェンの要約

先に短いあらすじを書いておきます。

ある粉挽きが、王様に、自分の娘はわらをつむいで金に変えることができると嘘をつきます。王様は娘をとじこめ、実際に金をつむげと要求(できないと処刑)。娘が困っていると、小人がやってきて、ネックレスや指輪と引き換えに金をつむいでやります。

3日目は、小人はこれから生まれてくる娘の赤ん坊と引き換えに金をつむぎましたが、1年後、赤ん坊を渡したくない娘(いまは女王)が、約束はなかったことにしてくれと頼むと小人は自分の名前を言い当てたら赤ん坊はいらないといいます。

はじめは小人の名前の調べがつかなかったものの、3日目に、小人自身が自分の名前を言っているのを家来が聞き、女王に伝えます。名前を言い当てられた怒りと悔しさで、小人は自分の体を引き裂きます。

自慢する粉挽き

昔むかし、貧乏だけど、美しい娘をもつ粉挽きがいました。彼は、王さまに謁見する機会を得て、王さまの関心を得るために、「うちの娘はわらから金をつむげる」と言います。

王さまは、たくさんのわらと、糸車、糸巻きのある部屋に娘をとじこめ、「夜どおし、金をつむぐのだ、明日の朝までに金ができていないければ、お前の命はない」と無茶を言います。

娘は、金をつむぐことなどできないので、困って泣いていました。するとそこに小人がやってきます。

娘を助ける小人

「なに泣いているの?」と小人が聞くので、娘が事情を話すと、「そうか、私が金をつむいだら、かわりに何かくれるか?」と小人が言います。

娘は、ネックレスと交換に、小人に金をつむいでもらいました。

翌朝、王さまがやってきて、金ができているのを見て満足しましたが、もっと金がほしくなり、別のもっと大きな部屋にわらをたくさん入れ、きのうと同じように娘に金をつむぐよう命じました。

この晩も、小人がやってきて、娘の指輪と交換に金をつむいでくれました。

欲張りな王さま

王さまは、もっと金がほしくなり、さらに大きな部屋にわらを入れ、 「もし金をつむいだら、私はおまえと結婚する」と言いました。王さまは「ただの粉挽きの娘にすぎないが、これ以上金持ちの娘はどこにもいない」と考えたのです。

また小人がやってきましたが、娘はもう彼にあげるものがありません。小人は「それなら、おまえが女王になって最初に生まれた子供を渡すと約束してくれ」と申し出ました。

娘は「そうする」と約束しました。小人はまた金をつむぎ、王さまは娘と結婚し、娘は女王になりました。

小人の新たな申し出

1年後、女王は子供を生みました。女王は、小人のことをすっかり忘れていましたが、突然、彼があらわれ、「約束のものをいただきにきた」と言います。

女王は、「国中の富をあげるから、子供は連れていかないで」と頼みましたが、小人は、「生きているもののほうが、財宝なんかよりずっと価値がある」と、あくまで赤ん坊を要求します。

しかし、女王があまりに嘆き悲しむので、小人は気の毒に思い、「3日のあいだに、私の名前がわかったら、赤ん坊はいらないよ」と言いました。

秘密をもらす小人

女王はこれまで聞いたことのある名前を必死に考え、さらに、家来を街に送り込み、国中の名前を調べさせましたが、1日目も2日目も名前を言い当てられません。

3日目に、街から戻った家来が女王に言いました。

「もう新しい名前は見つかりませんでしたが、山のふもとの森にある小さな家の前に火が焚かれているのを見ました。

火の前で、おちゃらけた小人が、飛び跳ねながらこんなことを言っていたのです」。

きょう、おいらはパンを焼き、あしたはビールを作る。そしたら、女王の赤ん坊をいただくのさ。うまい具合に、おいらがルンペルシュティルツヒェンという名だとは誰も知らない。

その日、小人がたずねてくると、女王はわざとほかの名前を言って、じらしてから、「おまえの名前は、ルンペルシュティルツヒェン?」とズバリ言いました。

これを聞いた小人は、「悪魔に聞いたんだな、悪魔に聞いたんだな」と叫び、怒って、右足で床をどんと蹴って作った穴に、腰まで埋まりました。それから、彼は両手で、左足をつかんで自分のからだを2つに引き裂いたのです。

原文はこちらを参照しました⇒ Grimm055: Rumpelstiltskin 英訳です。

この小人はいったい何者なの?

この童話から、「あることないこと、自慢しちゃいけない」、「欲張りはよくない」、「できない約束をしてはいけない」という教訓を得られますが、自慢した人も、よくばった人も、空約束をした人も罰を受けていません。

痛い目にあったのは小人で、彼の行動から、「油断禁物」「秘密をばらしちゃいけません」という教訓を引き出せます。

ですがこの小人はいったい何者なのでしょう? わらから金を出せるなんて只者ではありません。金を出せるなら、ネックレスや指輪をもらっても仕方ないし、国中の財宝もいらないわけです。自分でいくらでも作り出せます。

娘を助けるのですから、よい魔法使いにも見えるし、赤ん坊欲しさに取引した悪い魔法使いにも見えます。神様なのか、それとも悪魔なのか?

いずれにしても、あまり人間ができていない(人間じゃないけど)魔力の持ち主ではあります。

名前を言い当てられたぐらいで、怒って自分のからだを引き裂くなんて、短気で負けず嫌いすぎます。すると、「ゲームに負けたからといってかんしゃくを起こしてはだめです」という教訓も得られます。

ルンペルシュティルツヒェンという名前の意味

rumpel は、ガタゴトという物音で、stilz は、家や小屋をささえる支柱なので、この小人は、家や柱をがたごとさせる生き物であり、ポルターガイスト(poltergeist)の仲間と言えます。

ポルターガイストは、ドイツなどの民話に出てくる音の精で、不思議な音をたてたり、家具をひっくりかえしたりします。

ルンペルシュティルツヒェンは、言ってみれば、「ガタゴトさん」なのです。 stilz には、竹馬という意味もあるので、日本では、 「がたがたの竹馬こぞう」と訳されることもあるそうです。

しかし、私は子供の頃、そんな童話を読んだ記憶はありません。

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