白雪姫(グリム兄弟)のあらすじ

りんご 白雪姫

グリム童話に入っている『白雪姫』のあらすじを紹介します。グリム童話は7回、改訂されていますが、1857年に出た最終版の白雪姫です。白雪姫は、ドイツ語で Schneewittchen (シュネーヴィットヒェン)です。

白雪姫の誕生

昔むかしの冬のこと。雪の降る日、ある女王が、窓辺で縫い物をしていました。窓枠は、真っ黒な黒檀(こくたん)製です。雪に見とれていた女王は、うっかり指を針で刺し、血が3滴、雪の上に落ちました。

そのさまがとても美しかったので、女王は、「雪のように白く、血のように(ほっぺたが)赤く、黒檀のように(髪が)黒い子供がほしい」と願いました。

しばらくして、本当にそんな娘が生まれましたが、女王は、出産と同時に亡くなります。娘のことを皆は白雪姫と呼びました。

嫉妬深いまま母

1年後、王は新しい妻をめとりました。とてもきれいな人でしたが、高慢で、自分より美しい人の存在を認めない性格。まま母は魔法の鏡を持っていて、毎朝鏡の前に立ち、この世で誰が一番美しいか確認します。

「壁の鏡よ、鏡。この世で一番美しいのは誰?」 鏡が「あなたです。女王さま」と答えると満足していました。

ところが白雪姫が7歳になると、鏡の答えが変わりました。「女王さま、あなたは確かにおきれいです。しかし、白雪姫のほうが1000倍きれいです」。

それを聞いてからと言うもの、新女王の白雪姫への憎しみが日に日につのりました。

白雪姫、刺殺命令

憎しみが頂点に達した新女王は、狩人を呼び、「白雪姫を森に連れ出して殺せ、そして、証拠に白雪姫の肺と肝臓を持ち帰れ」と命じました。

狩人が白雪姫を森につれていき、ナイフで殺そうとしたそのとき、「殺さないで。私は荒野に行き、2度と戻りませんから」と白雪姫は泣いて命乞いをしました。

白雪姫があまりに美しいので、かわいそうになり、狩人は彼女を逃しました。「どうせ、野生の動物に殺されるだろう」と思いもしました。

狩人は、若いイノシシをつかまえ、その肺と肝臓を白雪姫のものとして持ち帰りました。料理人が塩で調理したその肉を、新女王は食べました。

白雪姫、小人の家にたどりつく

白雪姫は、森の中を走って、走って、夕方、1軒の小さな家にたどり着きました。家の中のものは何もかも小さく、食事が7人分用意されていました。おなかがすいていたシンデレラは、皿から少し食べ物をちょうだいし、ベッドに倒れ込んでそのまま寝ました。

暗くなってから、その家の住人である7人の小人が帰ってきました。彼らは、美しい女の子が眠っているのを見てびっくりしました。

白雪姫が目をさまして、事情を話すと、小人たちは、家事をすべてひきうけることを条件に、白雪姫を家においてやることにしました。

かくして、白雪姫は、この家の家政婦となりました。小人は毎日、山に鉱石と金を取りにいくため、昼間は白雪姫、1人です。

「まま母に気をつけて。ここにいるのがじきにばれると思う。昼間誰かが来てもぜったい扉をあけちゃいけない」。小人たちは白雪姫にこう注意をしました。

自分で手を下すまま母

まま母が、いつものように、誰が一番美しいか鏡に聞くと、「 女王さま、あなたは確かにおきれいです 。でも、山の向こうに小人といる白雪姫のほうが1000倍きれいです」と答えるではありませんか。

なんですと?! 白雪姫が生きていることを知ったまま母は、怒り心頭に発しました。そして、今度は自分で殺すことにしたのです。

1度目の未遂

まま母は行商人のふりをして小人の家へ行きました。「素敵なお召し物はどうですか?」人を疑うことを知らない白雪姫は、まま母を家に入れました。

「このひもを結んであげましょうね」と言いながら、まま母は、白雪姫の首をひもでぎゅーっと締めました。パタン、白雪姫が倒れたので、まま母は走って出ていきました。

戻ってきた小人たちが、白雪姫に巻きついてたひもをはさみで切ったら、白雪姫を息をふきかえしました。

「誰も家に入れちゃいけないよ」。小人は白雪姫に注意しました。

2度めの未遂

今度こそ自分が1番だと思って鏡に聞いたまま母は、まだ白雪姫が生きていることを知り、また行商人のふりをして殺しに出かけました。毒のついた櫛(くし)を持って。

櫛が美しいので、白雪姫はまたしても、まま母を家に入れ、髪に櫛をさしたとたん、パタンと倒れました。幸い、すぐに小人が帰ってきて櫛を取ったら、白雪姫は息をふきかえしました。

「今度こそ、絶対誰も家に入れちゃいけないよ」。小人は白雪姫に厳重に注意しました。

3度目の正直

鏡から白雪姫の生存を知ったまま母は、今度は毒入りのりんごで殺すことにしました。また行商人に化けて、白雪姫のもとに行きます。

「おいしい、りんご、いかがですか?」

「誰も家に入れちゃいけないことになってるの。小人さんたちに禁じられているの」。 窓から 白雪姫はこう答えました。

すると、まま母は、窓越しに、りんごを渡そうとしました。

「だめ。何ももらってはだめと言われてるの」。

「まあ、毒でも入っているとでも? ほら、りんごを半分に切って、白いほうを私が食べましょうね。赤い方をあなたがどうぞ」。

そう言うとまま母は白いほうを食べました。実は、この毒りんごは赤い方にだけ、毒が入っていたのです。

おいしそうなりんごの誘惑に負けた白雪姫が、半分りんごを受け取ってかじるやいやな、毒がまわってパタっと倒れました。

今度こそ死んだ白雪姫だったが

まま母が家に戻って鏡に聞くと、自分が一番美しいと答えたので、ようやく彼女は安心しました。

小人たちが家に戻ったとき白雪姫は息をしていませんでした。死んでしまったのです。蘇生させようといろいろやってみましたが、生き返りませんでした。

小人たちは、白雪姫を棺(ひつぎ)台の上にのせ、3日間泣いて暮らしました。土に埋めようと思いましたが、白雪姫は、いまだに、生きているかのように、美しく、赤いほほをしていました。

あまりにその姿が美しいので、小人たちは白雪姫を埋めることができず、代わりにガラスの棺桶に入れました。その上に、金色の文字で、白雪姫という名と彼女がプリンセスであることを書き添えました。棺桶を山の上に置くと、小人たちは交代で番をしました。

ずいぶん長いこと、 白雪姫は、この棺桶の中にいましたが、くさることもなくずっと美しいままでした。

王子さまの登場

あるとき、王子が森にやってきて、小人たちの家に一夜の宿を求めました。白雪姫の棺を見つけた王子はその美しさに呆然となりました。

王子は小人にこの棺を売ってくれるよう頼みましたが、「売り物じゃない」と断られました。

「じゃあ、ゆずってほしい。私は、白雪姫を見ないで生きることなんてもうできない。ずっと、ずっと大事にするから」。

心やさしい小人が王子を気の毒に思い、棺をゆずることにしました。王子は家来に、棺を運ばせました。このとき、1人の家来が、茂みに足を取られて、棺がかたむきました。そのはずみで、白雪姫ののどにつまっていた、毒りんごのかけらが、ぽろっと取れました。

白雪姫は目をあけ、自分で棺のふたをあけ、座りました。生き返ったのです。

「おや、まあ! ここはどこ?」

まま母の末路

王子は喜んで、「きみは僕と一緒さ」と言いました。

「僕はあなたを世界の何よりも愛している。一緒に父の城へ来てほしい。妻になってほしいのだ」。

白雪姫も彼を好きになり、城について行きました。盛大な結婚式が計画されました。まま母も結婚式に呼ばれました。美しく着飾ったまま母は、鏡に誰が一番美しいか聞きます。

「女王さま、あなたは確かにおきれいです。でも、若い女王さまのほうがあなたより1000倍きれいです」。

「なんですって?!」まま母は恐ろしさに震えました。結婚式に行きたくないと思いましたが、気持ちが休まらないので、結局行きました。白雪姫の姿を見たまま母は、ただ立ち尽くすのみでした。

ほどなく、真っ赤な石炭の上でずっと熱していた鉄の靴が、まま母の前に置かれました。まま母は、無理やりこの靴をはかされ、倒れて死ぬまで踊らされたのです。

原文はこちらを参照しました(英語です)⇒ Grimm 053: Little Snow-White

白雪姫は仮死状態だったのか?

ディズニーの映画(アニメ)では、王子さまが白雪姫にキスをして、生き返りますよね? 実は私は、ディズニーの白雪姫の映画を見たことがないのですが、絵本で見たような気がします。

しかし、グリム童話の最終版では、棺がかたむいたすきに、のどにつまっていたりんごのかけらがはずれて、生き返ったとあります。なんという違い。

まるでギャグですが、このほうがおとぎ話らしいです。

まま母が執念深く、3回も(狩人に頼んだのを入れると4回)白雪姫を殺そうとしていたのにも驚きますが、この繰り返しも伝承話らしいです。

なお、初回の殺害に使われるひもは、原作に具体的な記述はないのですが、コルセットなど、女性の下着や服に使われているひもだと思います。昔の西洋の身分の高い女性は、からだをがちがちに締めつけていましたから。

コメント

  1. masausa より:

    棺が傾いてのどに詰まったリンゴが取れて生還とは!王子のキスで目覚めるのが、ディズニーではなくても一般的だと思います。「王子が人工呼吸をしたから蘇生したのだ」と親から教えられ、とても納得していたことが懐かしいです。

    • pen より:

      人工呼吸? はじめてきいた説です。死んで、ずいぶんたっているんですけど。
      原文では、小人たちは白雪姫が倒れているのを見て、抱き起こし、揺すったりもしてるんですけど、小人だから、りんごのかけらが取れるほどには、しっかり揺すれなかったんでしょうね。
      ディズニー(1937)以前の結末がどうなっていたのか、リサーチしてないからわからないんですけど、キスはディズニーから始まったんじゃないかな、と思っています。
      いきなりキスするのは変なので、ディズニーアニメでは、その前に、白雪姫と王子が会っているらしいです。
      そのうち、このアニメも見る予定です(いつのことになるか?)。

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