フェアリーテール・シアターの白雪姫(1984)の感想

りんごを差し出す 白雪姫

女優、シェリー・デュバルがプロデュースした、アメリカのテレビ番組、フェアリーテール・シアター(Faerie Tale Theatre。1982年~1987年)から、白雪姫のエピソードを見ました。原題は、Snow White and the Seven Dwarfs です。

白雪姫(フェアリーテール・シアター)基本情報

  • 原作:グリム兄弟の白雪姫
  • 主演:ヴァネッサ・レッドグレイヴ(悪の女王)、ヴィンセント・プライス(魔法の鏡)、エリザベス・マクガヴァン(白雪姫)、レックス・スミス(王子さま)
  • 番組ホストはシェリー・デュバル。デュバルは、白雪姫の母親役も演じています。

あらすじ

昔あるところに、仲のいい若い王様と女王がいました。ある日、 女王 は刺繍をしている最中に指を針で突き刺します。血の出た指を見ながら、 女王 は、この血のように赤い唇をして、雪のように白い肌で、窓の枠のように黒い髪をもった女の子がほしいと願います。

本当にそんな容姿の赤ちゃんが生まれ、白雪姫と名付けられましたが、しばらくして母親は亡くなります。

新しい母親は、自分が世界で一番美しいことに異様にこだわる 女王で、いつも、魔法の鏡に、誰が一番美しいかきいていました。

あるとき、白雪姫のほうが美しいと鏡が言ったのに切れた女王は、猟師を呼んで、白雪姫を森に連れていき、そこで殺して、心臓を持ち帰れと命令します。

猟師は白雪姫を殺すことができず、白雪姫は、森の中をさまよい、7人の小人の家に行き着くのでした。

かなり原作に忠実な白雪姫

白雪姫の母親のシーンから始まる、わりと原作に忠実なりテリング。原作では、まま母は白雪姫を3度殺害しようとしますが、このドラマでは2度殺しにいきます。

1度目は、行商人に化けて色とりどりのリボンを売りに、2度めはべつの行商人に化けて、果物のかごに毒りんごを入れて出向きます。ディズニーのような魔女の姿ではありません。

王子様は、物語の中盤から登場します。小人たちが山に行く道で、マンドリンを弾きながら、「僕はいつも真実の愛を探しているのさ♪」と歌っています。王子さまを演じているのは、70年代のアイドル歌手、レックス・スミスです。

終盤、白雪姫の棺を小人たちが、運んでいるとき、王子さまがやってきて、白雪姫の美しさに見とれます。小人の1人がバランスをくずし、棺がかたむいて、のどからりんごのかけらが落ちて、白雪姫が息を吹き返すのも、原作と似ています。

王子様は生き返った白雪姫にすぐにプロポーズをして、キスをします。

相当心を病んでいる女王

ディズニーアニメもそうですが、白雪姫より、悪の女王のほうが断然目立っています。

特にこのドラマの女王は、いかに自分が美しいか、髪がどうで、肌がどうだといつも1人でしゃべっていて、最後には、「鏡よ鏡・・・」と、誰が一番美しいか確認します。一番美しいのは、白雪姫だと聞くと、ものすごくショックを受けるのです。

まるで、妄想性障害をわずらっている人のようです。もしこの鏡が、女王の心が穏やかになるような、セラピーめいたことをしてあげれば、白雪姫も死なずに(生き返りますが)すんだでしょう。

エンディングで、女王が、「1番美しいのは誰?」と聞くと、鏡は「白雪姫です(きっぱり)。女王さま、あなたは、虚栄心が強すぎるし、残酷だし、とてもエレガントとは言えません。今後は何度鏡を見ても、美しい顔は映りませんよ。どんな鏡を見ても、真っ黒です」と言います。

すると、女王は、狂ったように、部屋中にある鏡で確認し、最後には、心神喪失して、部屋で倒れてしまうのです。

この女王は、ソバージュの長髪で、服装もボヘミアンな雰囲気なので、70年代ふうです。

白雪姫はエリザベス・マクガヴァン

白雪姫は、 近年、 ドラマ『ダウントン・アビー』のコーラ役で人気のエリザベス・マクガヴァンです。あまりに若いせいか、最初は、エリザベス・ マクガヴァン だと気づきませんでした。「あれ? この人、どこかで見たことあるんだけど、誰だっけ?」と思っていたところ、特徴のある低い声でしゃべり始めたので、 マクガヴァン だとわかりました。

この人、本当に声が低いですね(素敵な声ですけど)。日本では、おひめさま役にこんな声の低い人をキャスティングすることはまずないでしょう。

エリザベス・マクガバン
白雪姫(エリザベス・マクガヴァン)

エリザベス・マクガヴァンの白雪姫は、色白でほほがぷっくりし、薄い青い目が、夢のような雰囲気をかもしだしていて、白雪姫に合っていると思います。

化粧がもろ80年代で、髪型もそんな感じです。暖炉の前で、小人たちとおしゃべりするのですが、この白雪姫は、お城のお堀で泳ぐのが趣味だと言います。

全体的に牧歌的な雰囲気

女王が鏡と話しているシーンが多いので、いまの子供が見ると、展開が遅いと感じるかもしれません。全体的におっとりと進む白雪姫は、森のシーンが多いこともあって、牧歌的な雰囲気です。

スタジオで撮影しているので、舞台劇みたいでもあります。

ヴァネッサ・レッドグレイヴの神経症をわずらってきりきりしている女王さまと、低い声で、「お城より、ここのほうがいいわ」というエリザベス・マクガヴァン白雪姫は、あまりかみあわないと思うのですが、もともとこの2人は住む世界が違うからこれでいいのでしょう。

それにしても、このシリーズは、有名な役者が、若い姿が登場するので、自分が年をとったことをまざまざと感じさせられます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました