スノーホワイト:クリステン・スチュワート主演(2012)の感想。

暗いお城 白雪姫

グリム兄弟の『白雪姫』をベースにした映画、Snow White & the Huntsman を見ました。訳すと『白雪姫と猟師』となります。

この映画の邦題は、またも、『スノーホワイト』で、ほかの白雪姫の映画と全く区別がつかないので、記事のタイトルに主演女優の名前を入れてみました。

同じ2012年に公開された、Mirror, mirror (白雪姫と鏡の国の女王)よりは、こちらの映画のほうが私は好きです。

スノーホワイト・予告編(1分52秒)

基本情報

  • 監督:ルパート・サンダース(1971年生まれのイギリスの映画監督、テレビにて映像作品(広告)を作っていた人で、この作品が初めて監督した映画)。
  • 主演:クリステン・スチュワート(スノーホワイト)、シャーリーズ・セロン(ラヴェナ、まま母)、クリス・ヘムズワース(猟師)、サム・クラフリン(ウィリアム、公爵の息子、スノーホワイトの幼なじみ)
  • 小人は最初8人いて、1人命を落としてしまうので7人となる。CGで小人に見せているけれど、演じているのは有名な役者。なので、お笑いふうにはならない。
  • 上映時間:2時間7分
  • ダークファンタジーなアクション映画

あらすじ(出だし部分のみ)

おひめさまふうの女性が、雪原にあるバラのトゲにさわってしまい、まっかな血が雪の上にぽたぽたと落ちます。

このとき、この女性は雪のように肌が白く、血のように唇が赤く、カラスのように髪が黒く、魂(スピリット)が冬のバラのように強い女の子がほしいと願い、おなかをさすります。そしてスノーホワイト(以後、スノーと表記)が生まれます。

最初のシーン、あたりは一面真っ白なのに、バラだけが真紅です。これは、スノーホワイトのパワーの象徴でしょう。母親が願ったからか、スノーには、不思議な力がやどっていて(魔法が使えるわけではないです)、これが後々、悪の女王に恐怖を与えます。

スノーが6歳ぐらいのとき、母親が死に、国王である父はラヴェナという女性を妻にむかえます。ラヴェナは戦場で敵にとらわれていた女性ですが(実はこれはラヴェナの策略)、その美しさに彼はひとめぼれするのです。

結婚したその晩、ラヴェナは夫(国王)を刺殺し、国を乗っ取ります。ラヴェナは魔女なので、彼女が統治者になると、国中から明るいものや生命を象徴するものはすべてなくなり、あたりはすっかり荒廃します。

国王が死んだとき、混乱が起き、皆が逃げ出しますが、スノーは逃げ遅れます。ウィリアムはスノーを連れて逃げたかったけれど、父親(ハモンド公爵、亡き国王の片腕だったらしい)に間に合わないとかなんとか言われ、一緒に行くことができませんでした。

国王の娘なのに、置いていかれるのが不思議です。ふつうは自分の家族が死んでも、プリンセスを助けると思いますが。それはともかく、その後スノーは城の塔に監禁されます。皆はスノーは死んだと思っています。

18歳ぐらいになったスノーはチャンスを見つけて、城から逃げ出し、ブラックフォレストに入り込みます。ラヴェナの魔力は、この森ではきかないので、彼女は森のことをよく知る猟師をやとい、スノーの心臓を取ってくるように命じます。

猟師はスノーをつかまえに森に行きますが、スノーに出会ってから気が変わり、ハモンド公爵のところに行きたいというスノーを助けることにします。

一方、成長したウィリアムは、スノーが生きていることを知り、女王の放った追手の中に入り込み、スノーを探しに森に向かいます。スノーと猟師は途中で小人につかまりますが、小人たちも、スノーの味方になります。

こうして、逃げるスノーと猟師、それを追う女王の家来たちの攻防戦が展開されます。

映像美が魅力

予告編を見てもわかるように、この映画は映像が美しいです。まあ、あの予告編は特によくできていると思います。音楽(効果音)もいいです。

鏡から金属がとけだし人みたいなのが出て来るところ、カラスがたくさん集まって女王になるところ、荒涼とした岸壁に立つお城、気持ちの悪いものがいっぱい出てくる暗いブラックフォレスト、一転して、生命の息吹が感じられるフェアリーランド。

コマーシャルを撮影していた監督だからか、映像はとても洗練されています。

森の中で戦うシーンも迫力があって、皆、馬に乗っているので、往年の、日本の戦国時代の映画みたいな雰囲気です。

悪の女王と善のスノーホワイト

ストーリーはそんなに驚くほどのことはありません。白雪姫なので、結末は誰でも知っています。悪の女王は滅び、スノーホワイトが勝利します。

父を殺され、自分の国を奪われたスノーホワイトが、味方をひきつれて奪い返す話で、ロマンスはありません。猟師もウィリアムも、スノーホワイトが好きなんだ、とわかる程度です。でも、それがかえってよかったと思います。このスノーホワイトは戦うプリンセスですから。

戦う白雪姫は、何もしないお人形さんの白雪姫や、小人の家で嬉々として家事をする良妻賢母型の白雪姫よりいいのではないでしょうか?

ただし、悪の女王のほうが迫力があり、おまけにとてもきれいなので、魔法の鏡が、「スノーホワイトのほうがきれいです」と言っても、やや説得力にかけます。

このスノーホワイトは個性派白雪姫と言えるでしょう。猟師やウィリアムを演じた俳優もよかったです。はじめて監督した2時間もある映画をなんとか形にしてしまうルパート・サンダースという人も、才能があるんだなあと感じました。

ハリウッドのメジャーな会社、ユニバーサルピクチャーズの配給だし、制作費は1億7千万ドルです。私が監督ならそれだけでプレッシャーを感じてとてもメガホンをとれません。

この映画、The Huntsman: Winter’s War (スノーホワイト/氷の王国)という続編(スピンオフ?)があります。そちらは、もう白雪姫ではありませんが(邦題にはスノーホワイトとありますが)、もしかしたら見るかもしれません。

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