Snow White (Schneewittchen) (1961)の感想。

お城 白雪姫

今はもうない国、東ドイツ(ドイツ民主共和国)の映画、Schneewittchen(シュネヴィッツェン)を見ました。Schneewittchen はドイツ語で白雪姫のことです。

シュネヴィッツェン、予告編(2分46秒)

基本情報

  • 制作:DEFA ( Deutsche Film AG ドイツ映画株式会社、ドイツが1つの国になってからは財団として、過去の作品を管理しています)1961年
  • 上映時間:61分
  • 言語:ドイツ語。英語の字幕がついていました。
  • 原作:グリム兄弟の『白雪姫』
  • 監督: Gottfried Kolditz (東ドイツでは有名な監督さんらしいです)
  • 主演:邪悪な女王(Marianne Christina Schilling)、白雪姫(Doris Weikow)

あらすじ

ある国の女王さまが、雪のように肌が白く、血のようにくちびるが赤く、窓わくの黒檀のように髪の黒い子供がほしいと願っていたら、本当にそんな女の子が生まれ、白雪姫と名付けられる。

しかし、女王さまはほどなくして亡くなってしまう。1年後、王さまは新しい妻をめとる。この妻は、とても美しい人だったが、高慢で、いつも鏡に、この世で誰が一番美しいかたずね、鏡が「あなたです、女王さま」と答えると満足していた。

ほどなく、王さまも亡くなり、以後、女王さま(まま母)は毎日のように、宴会を開いていた。きょうは、となりの国の王さまを迎えて晩餐会だ。白雪姫は美しく成長したが、女王さまから、宴会に出てはいけないと言われる。

そこで、白雪姫は、台所で皆の手伝いをし、料理を運ぶことにした。魚の皿をテーブルに持っていくと、食事をしていた王さまにいきなり見初められるが、すぐに女王に部屋に戻るように言われる。

女王が、ルーティンの鏡チェックをしたら、なんと、1番美しいのは白雪姫だと言う。しかも、王さまは、白雪姫を妻にめとりたいと言う。白雪姫が邪魔になった女王さまは、森で白雪姫を殺してくるよう猟師に命令する。

原作に忠実な白雪姫

これまで見た、白雪姫のアダプテーションの中では、もっとも原作に忠実です。原作と大きく違うのは、王子(この映画では王さま)が最初から出てくるところと、エンディングだけです。

原作では、女王は火で熱した鉄の靴をはき、倒れて死ぬまで踊りますが、この映画ではもっとずっとマイルドです。

すなわち、王さまがりんごを2つに切って、赤いほうを女王に渡し、白いほうを白雪姫にあげて、女王を心理的に追い詰めたあと、もうこの国には2度と来るなと追放します。

女王は白雪姫を殺そうとしたのに、やさしい処罰です。

たぶんこの映画は、子供をオーディエンスに想定しているのでしょう。話に特にひねりはありませんし、邪悪な女王も高慢ではありますが、魔女にはならず、ふつうの人間です。

小人は、本物の小人ではなく、小柄な男性が演じています。 白雪姫の棺は小人が運んで、1人が石にけつまづいて、棺がかたむき、白雪姫が息を吹き返します。

見どころはセットと衣装

この映画の見どころはセットと衣装でしょう。1961年は昭和36年ですが、その当時としてはとてもきれいで緻密だし、中世の雰囲気をうまく再現した舞台劇のようです。

衣装が派手なのは、女王のほうで、豪華な紫のマントをやドレスを着て、大きな宝石もつけ、頭には細長い帽子をかぶっています。こういう大きな帽子をかぶるのは、権力と身分の高さの象徴でしょう。

一方、白雪姫は、これまで見た白雪姫の中では、もっともシンプルで、普段着は白いあっさりとしたドレスで、袖の部分はピンクっぽい肌着(ばばシャツ)みたいです。頭は黒髪のロングヘアをそのままおろしているだけで、まるで、いまの時代の人のような雰囲気。

アクセサリーは1つもつけていません。指輪すらも。

結婚式では白いドレスを着て、王冠をかぶっていますが、このドレスもかなりシンプルで、やはりアクセサリーはありません。

白は純粋さや無邪気さの象徴で、女王としっかりコントラストをつけているのでしょう。

小人の家の中の食卓や食器、ベッドなども、素朴ですが、かわいいと思いました。

ディズニーアニメの影響

1937年のディズニーアニメの『白雪姫』に影響を受けている部分もあります。まず、冒頭、物語の本を開くところから始まるところ(ディズニーのほうがずっとカラフルでゴージャスですが)、

それから、白雪姫が森で動物たちとふれあうところ、小人たちが、よく歌を歌いながら、行列を作って歩いているところ、

そして、邪悪な女王の衣装や雰囲気。

邪悪な女王の衣装

ディズニー・アニメの女王の衣装は、ドイツのエッケハルト2世 (マイセン辺境伯)(985あたり~1046)の妻だった、ウタ・フォン・バレンシュテット(Uta von Ballensted またはUta von Naumburg )(1000あたり~1046)の彫像からヒントを得ているらしいです。

この映画の女王も、ディズニーアニメの女王になんとなく似ているので、同じ彫像から、衣装や帽子、かつらのデザインを描き起こしているかもしれません。

辺境伯というのは、よく知りませんが、貴族の一種で、国王が、国内にあるもう1つの国みたいなところの統治を任せた人のことらしいので、ウタさんは、女王のようなものです。

この方は、美しいことで有名で、そのお姿は彫像だけでなく切手にもなっています。

ウタ・フォン・バレンシュテット

彫像のウタさんは、髪の毛を何かでくるんでいますが、これと似たようなものを、この映画の女王も、 最後、王さまと白雪姫(だとはこのとき、女王は知らない)の結婚式 に行く時、頭につけています。

髪をくるんでいる

こちらは、映画の最初のほうの女王で、白雪姫のほうが美しいと鏡が言うので、ショックを受けているところです。画像では切れていますが、とんがり帽子をかぶっています。

邪悪な女王
冒頭の衣装

こちらはウタさんのマントと似たマントを着ているところ。髪がやや乱れているのは、この直前、行商人に化けるためかつらをかぶっていた想定だからです。

ウタさんの着ているのと煮たマント

この女優は、とてもきれいな人で、紫のゴージャスな衣装がよく似合います。

制作が、昭和36年であったということ、社会主義の東ドイツの国営映画だったということを考えると、かなり、がんばって中世のドレスを再現しているのではないでしょうか?

正直、話はもう少し、おもしろくできなかったのか、と思うところもあるし、小人たちのギャグ(?)も、ピンと来ないし、白雪姫の演技が今ひとつですが、白雪姫マニアの方は、機会があったらごらんになるとよいでしょう。

日本のアマゾンにはDVDがありませんでしたが、図書館やドイツ語の学校なんかに、DVDがありそうです。

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