ペロー版の『シンデレラ』のあらすじの2回めです。
舞踏会の日がやってきた
舞踏会の当日、姉たちは出かけていきました。見送ったあと、シンデレラは泣き出しました。すると、彼女の代母(だいぼ)がやってきて、どうしたのか聞きました。
「私もできることなら、私もできることなら…(泣いていて話せない)」
妖精でもあった代母は、「舞踏会に行きたいんだね?」と言いました。
「はい」
「よい娘でいなさいね、私が行かせてあげましょう」
代母が魔法でシンデレラを助ける
代母は、シンデレラにかぼちゃを取ってくるよう言いました。
かぼちゃを受け取ると、代母は、かぼちゃの実を取り出し、皮だけにすると、杖でたたいて、金色の馬車にしました。
次に、ハツカネズミネ6匹を美しい馬に、ドブネズミを御者に、6匹のトカゲを従僕に変えました。
「さあ、これで舞踏会に行く準備が整いましたね?」
「でも、こんな身なりでは行けません」
代母が杖でシンデレラに軽くふれたら、ぼろぼろの服が金と銀の美しい服に変わりました。最後に、代母は世界で一番美しいガラスの靴をひとそろい、シンデレラに渡しました。
魔法は真夜中に消えると警告される
シンデレラが馬車に乗り込むと、代母は、何があっても、真夜中すぎまで舞踏会にいてはいけない、12時をすぎると、馬車はかぼちゃに、馬はハツカネズミに、従僕はトカゲに、美しい服は、元の服に戻ってしまうよ、と警告しました。
シンデレラは、12時になる前に舞踏会から戻ると代母に約束をして、出発しました。
皆がシンデレラの美しさに驚く
王子さまは、「どこの誰だかわからないけれど、とても美しいプリンセスがやってきた」と聞きつけると、馬車まで行き、シンデレラの手をとって、馬車からおろしました。
そのまま、王子さまがシンデレラを大広間に案内すると、あたりは急に静かになりました。彼女があまりに美しいので、人々はただただ見とれてしまったのです。
年老いた王さまも「こんなに美しくて愛らしい女性を見るのはずいぶん久しぶりだ」とお妃さまにささやきました。
まわりの女性たちは、皆、シンデレラの着ていた服や髪の様子をじっと観察しました。材料と職人さえ用意できたら、自分も同じものをあつらえたいと思ったのです。
あらすじ、次回につづきます・・・・
元の文章はこちらを参考にしています⇒ Cendrillon ou La petite pantoufle de verre par Charles Perrault (1697)
今回のポイント
魔法使いは代母である
魔法で馬車や美しい服を出してシンデレラを舞踏会に送り込んでくれたのは、そのへんにいた魔法使いではなく、シンデレラの代母でした。フランス語では、Marraine です。
代母は、カトリック教会で、女子が洗礼を受ける時、神に対する契約を見届け、証人の役割を果たす人です。洗礼が終わったあとも、その女子のスピリチュアルな母として、信仰の指導をします。
いまは、代母は形だけのものかもしれませんが、ベローの時代には、重要な人だったはずです。
実の母を亡くしていたシンデレラにとっては、文字通り、母親代わりだったと思われます。
ガラスの靴は代母からの贈り物
馬車、御者、従僕、シンデレラのドレスは、かぼちゃやらを魔法で変えたものです。魔法をかけるとき、代母は杖で、それぞれを軽くたたいていました。
しかし、ガラスの靴は、代母からシンデレラへの贈り物です。
だから、12時になって、魔法がとけても、ガラスの靴はそのまま残っているのです。
ディズニーのアニメでは、魔法使いが、ビビデバビデ、 ビビデバビデ 、ビビデバビデブーと言いながら、ドレスも靴も一気に変えてしまいます。
魔法でガラスの靴を出したように見えるので(というか、しっかり魔法で赤い靴をガラスの靴に変えています)、「12時になったのに、なんでガラスの靴は、もとの靴に戻らないのだ?」という疑問が生じるのです。
アニメの『シンデレラ物語』では、ガラスの靴は、亡くなった、サンドリヨンの母、フランソワーズの形見であり、もともとは、ポーレット(魔法使いにしてシンデレラを見守っている人)が、フランソワーズにあげた物である、という設定になっています。
あらすじ、初回はこちらです。
続きはこちらです。
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