アニメ『シンデレラ物語』の登場人物紹介、今回は、ビエル公爵夫人(La Duchesse de Biel)です。
公爵夫人のプロフィール
公爵夫人はビエル公爵の妻で、サンドリヨンのまま母です。 日本語版では、ダントンという名前ですが、フランス語版では名前で呼ばれることはありません。
公爵とは再婚で、以前の結婚でもうけた2人の娘、カトリーヌとジャンヌがいます。公爵とのなれそめなどはわかりませんが、娘たちを公爵の娘にするために結婚したのだと、第2話で語っています。
公爵の娘であれば、王子と結婚するのに身分が釣り合うからです。
公爵夫人のゴールは、実の娘のどちらかを王子と結婚させることであり、そのために、涙ぐましいまでの努力をしています。
ミーシャという猫を飼っていて、まま娘であるサンドリヨンよりも可愛がっています。
実の娘ばかりをかわいがる人
夫人はサンドリヨンにはとても意地悪です。しかし、実の娘たちには、きびしいときもありますが、かなり甘いです。この待遇の差がどこから来るのか、実はよくわかりません。
ペローやグリム兄弟のシンデレラでは、シンデレラがきれいで性格がいいから、自分や自分の娘の器量と底意地の悪さが目立つ、という変な理屈で、シンデレラ嫌っているようですが、このアニメにおいてはまま母も義理の姉たちも、べつに器量は悪くありません。
意地悪なことを言ったり、怒ったり、命令したり、ヒステリックになったりしていることが多いから、顔立ちがきつく見えますが、穏やかにしていれば、3人とも美人です。
理由はともあれ、公爵夫人は、「私の言うことをきかないなら、家から出ていきなさい」とサンドリヨンをおどし、女中のようにこき使っています。
悪知恵が働く策士
公爵夫人は、娘たちに比べて頭がよく、行動力もあります。たとえば、サンドリヨンが街で知り合った少年(シャルル)が、王子の側近だと聞くと、彼を家に呼び、王子の趣味嗜好を聞き出そうとします。
家に呼ぶ前に、お城に戻っていくシャルルを馬車でつけ、彼が城の裏口のほうに歩いていくのを見届け、本当に城の関係者か確認しています。
カトリーヌが、「ただの下働きかもしれない」と言うと、夫人は、「彼の服をよくごらんなさい。とても高級な織物です。ただの召使いじゃありません」と鋭いところを見せています。
また、なかなかの策士です。夫人のはかりごとの例を3つあげます。
- サンドリヨンをわなにはめ、ぶどう泥棒にしたてあげようとする(第6話、 Le mystère du vignoble )
- 店で会ったゴシップ好きのご婦人たちに、「宅では、ザラール公爵と親しくしておりまして、娘が王子と結婚することはほぼ確定しておりますの」と嘘をついて既成事実を作ろうとする(第19話、 Les brigands attaquent )
- カトリーヌに来た縁談を、サンドリヨンに来たものだと嘘をついて、サンドリヨンの意向は無視し、パーティを開き、婚約発表まで持ち込もうとする(第20話 Voyage vers le bonheur)
ほかにも、公爵夫人が、口からでまかせをいうことは、何度もあります。 嘘をついたり、人をあざむくことなどお手のものです。
そもそも、ビエル公爵が、出張に行くさい、「家のことは頼んだよ」と言ったとき、「大丈夫ですわ。ご心配なさらないで」と答えておいて、彼の馬車が見えなくなるやいなや、公爵の最愛の娘を屋根裏へ追いやるのですから、夫を裏切ることなど何とも思っていません。
まれにやさしい時もある
悪意が服を着て歩いているような人ですが、ごくまれにやさしいところを見せるときがあります。
第9話、 Les conspirateurs では、サンドリヨンが森で、美しいバラを摘んできたとき、「あなたがきれいな花を摘んできてくれてうれしいわ」と喜んでいます。
第16話、 Le prince aux cuisines では、サンドリヨンが病気で倒れたとき、ちらりと(本当にちらりと)心配しているように見えます。
最後はやさしい母に戻る不思議
公爵夫人の行動でよくわからないのは、最終回で、やさしい母に戻るところです。サンドリヨンが、姉たちのために台所の物のありかや家事の手順をノートに書いていると、公爵夫人は、「サンドリヨン、もういいのよ」と言って、娘たちと作ったという、花のビーズの冠をサンドリヨンにかぶせます。
いったいどういう心境の変化でしょうか? サンドリヨンは王子の后になるから、心証をよくしておこうという策略でしょうか? しかし、この回は終始にこやかで、まるで人が変わったかのようです。
「今までごめんなさい」とも、「結婚、おめでとう」とも言いませんが、公爵夫人はサンドリヨンをやさしくハグします。
このアニメでは、公爵夫人とまま姉たちには、バチがあたらず、ハッピーエンドとなります。
コメント