美女と野獣(フランス映画、2014)の感想。

赤いバラ 美女と野獣

2014年公開のフランス映画、La Belle et la Bête(美女と野獣)を見ました。フランス映画ですし、主演の男優、女優とも、私は好きですし、ビジュアルがすごくきれいでよいところもあります。脚本がもう少し違ったらさらによかったです。

美女と野獣、予告編(1分58秒)

La Belle et la Bête – Bande annonce officielle HD

作品情報

  • 監督:クリストフ・ガンズ
  • 制作:フランス、ドイツ
  • 原作:『美女と野獣』、たぶんボーモン夫人バージョン。
  • 主演:レア・セドゥー(ベル)、ヴァンサン・カッセル(野獣)、アンドレ・デュソリエ(ベルの父、けっこう出番が多い)
  • フランス語、113分
  • 公開:2014年2月12日
  • 第40回セザール賞で、プロダクション・デザイナー賞を受賞

あらすじ(さわり)

19世紀のはじめごろ、息子3人、娘3人をもつ商人は、船も3隻持ち裕福だったが、嵐で船が遭難し、いきなり貧乏になる。一家は田舎の家に引っ越し、地味に暮らしていた。

長男は遊び人で、ならず者に借金がある。姉2人は、おとぎ話によくある設定の、甘やかされた娘たちで、贅沢をし、着飾ることしか興味がない。父親は、美しくて、心のやさしい末娘のベルを一番愛していた。

あるとき、父親の船が戻ってきたという知らせが入り、これでお金ができるとベル以外の家族はわきたつ。姉2人は、船を引き受けに行く父親に、買ってきてほしいものを紙に書いて渡した。父がベルのリクエストを聞くと、バラを1輪ほしいという。

父が港についたら、船は父の借金を払うためにすでに人手に渡っていた。一文なしのまま家に帰ろうとした父は、雪の中道に迷って、大きな屋敷にたどりつく。ドアに鍵がかかっていなかったので入ったら、ごちそうがテーブルに並んでいた。

「これは夢だろうか?」と驚きつつも、空腹だった父親は、ごちそうを食べ、ワインを飲む(立ったままで)。おなかがいっぱいになってふと見ると、そばに宝箱があり、娘たちが紙にリストアップしたドレス、宝石などが、すべてそろっている。

父は、その箱を持って帰ることにし、馬に積む。そして、庭で赤いバラを見つけて、ベルのために詰む。

すると、猛獣のような生き物が父親に襲いかかり、「おまえはなんて欲張りなんだ。俺様の一番大事なバラを盗むとは。バラを盗んだ引き換えに命をいただく」と言う。

父親は、「これは、末娘のために詰んだのです。死ぬ前にひと目、家族に会わせてください」と命乞いをする。猛獣(名前はベット)は、1日だけ父親に猶予を与えるといい、戻ってくるとき、馬の耳元でささやく言葉を教える。

家に帰って父親が事情を話すのを聞いていたベルは、だまって馬に乗って猛獣の屋敷に向かう。

2つのサイドストーリー

大筋は、ボーモン夫人の『美女と野獣』と同じです。サイドストーリーが入っていて、そこは、原作とずいぶん違います。

サイドストーリー1:王子さまが野獣になった理由

この映画では、王子は、森の神に野獣にされたという設定です。ボーモン夫人の『美女と野獣』も、それより古い、ヴィルヌーブ夫人バージョンも、王子は仙女に魔法をかけられたことになっているので、ここは大きく違います。

どうして野獣になったかは、ネタバレしないでおきますが、それを知っても、私は、「ほほ~、そうだったのか」という驚きはさしてありませんでした。

たぶん、その理由は、その話がおもしろくないからではなく(さほどおもしろくもないですが)、すべてが、ベルの夢の中で語られるからです。

ベルは、野獣の城で寝るたびに、かつてその城であったことを夢に見るのです。何もかも夢で伝えるのって安直すぎると思いませんか?

サイドストーリー2:長男とその債権者のならず者

長男は酒場で知り合ったならず者ふうの男、ペルデュカスにたくさん借金があります。ペルデュカスの恋人はタロットカードで占いをする女性で、この2人のシーンがわりとあります。

ベルが、いったん野獣の城から家に戻ったとき、なぜか、兄たちは武装しています。ペルデュカスの一味が襲ってくるかららしいです。長男は、ベルの着ていたマントについていた大きな赤い宝石を奪って、ペルデュカスに見せます。

「この宝石は廃城にあったもので、そこへいけば、もっとお宝がある」と長男はペルデュカスに教え、長男、次男、ペルデュカス、その恋人、その他のならず者(ペルデュカスの一味)で、野獣の城に押し入ります。

このシーンもやけに長く、丸太で扉を打ち破って城に押し込むシーンは、ディズニーアニメの『美女と野獣』にあったシーンに似ています。

その後、彼らは、城の中からお宝を強奪しますが、このシーンも長いし、そのあと、彼らは、野獣が怒ったせいか、巨人に襲われます。このシーン、特撮だかCGだか知りませんが、特殊な技術を使って、盛大に、けっこう長く見せます。これらはすべて余分だと私は思いました。

見どころ:野獣の城と衣装

この映画の見所はなんといってもビジュアルです。私が好きなのは、野獣の城と、登場人物の衣装です。

衣装

この映画は、ベルが子どもたちに読んであげる絵本の中の話という設定で、映画の冒頭と、最後、そして、途中にも、お話を語っているシーンがあります。

あらすじに19世紀のはじめ頃と書いたのは、絵本の最初の絵の家族の服装が、ジェーン・オースティンの小説に出てくる人たちみたいだからです。

これはベルの家族の絵で、手前のバラを持っている女性がベル、中央は金持ちだったころのお父さんです。画像では切れていますが、右端に長男と次男もいます。お父さんの頭の上にある肖像画はたぶん死んだお母さんです。

ベルが生まれた時に、お母さんが亡くなった、という設定です。

リージェンシーエラの服装

田舎に引っ越すシーンでは、みな、上のような服装ですし、田舎でも、ベルたちは、エンパイアラインの、ハイウエストで、胸を盛り上げるドレスを着ています。

ところが、野獣の屋敷は時代が違うのか、ベルは中世(?)のドレスを着ているようです。每日1着ずつ、ベルの部屋のトルソーに、ドレスとアクセサリーがかけられていて(野獣のプレゼント)、そのドレスがいちいちゴージャスです。

野獣の城

野獣の城は外側だけでなく、階段や、フロアのそこかしこに、木々、草花のつるや花、葉っぱがからみついています。まるで森や野原がそのまま城になったようで、ナチュラル感あふれる宮殿です。

うまく表現できませんが、花園と城を合体させたような雰囲気で、これがとても美しいです。「すごく自然がいっぱいあっていいね、いいね」と思ったのですが、あとで、森の神が、王子や城に魔法をかけたとわかり、なるほど、だから、こんなに自然がいっぱいなのだと納得しました。

ストーリーはもっと感動的になったと思う

ビジュアルは、いろいろ見どころがありますが、ビジャルに力をいれすぎたせいか、シナリオは手薄になったかもしれません。

もっとベルと野獣のロマンス主体で進行したほうが、よい映画になったと思います。

上に書いたように、サイドストーリーが2つあり、王子の過去については、提示の仕方が安直だと思ったし(ビジュアルは美しいです)、兄とならず者一味が、城を襲い、巨人と戦うシーンは、SF巨編みたいで、ここだけ違う映画のようです。

べつに野獣が好きだったわけではないベルが、最後のほうでは、野獣を愛しているらしいのですが、そこに至るプロセスが描かれていないとも思います。

ヴァンサン・カッセルの野獣は、原作のように、ベルに「この城の主人はあなただ」と言ったりはせず、わりといばっているので、紳士的ではありません。

一応、ディズニーアニメと同じように、野獣がベルを助けるシーンはあります。

ベルが、城から逃げようとしたとき、野獣がベルにのしかかり、その拍子で下の氷(凍った湖らしい)が割れて、ベルが水中に落ちたのを、野獣が引き上げます。

ですが、これがあったからといって、いきなり好きにはならないでしょう? まあ、野獣と人間の恋を描くのはむずかしいとは思いますが。

ディズニーの影響かダンスのシーンもあります。ベルが、「あなたとダンスを踊るから、そのかわり一度家に帰らせて」と野獣に交渉するのです。つまり、好意を持っているから踊るわけではないのです。

野獣のヴァンサン・カッセルも、ベルのレア・セドゥーも、よい役者さんだと思います。ヴァンサン・カッセルは野性味があってセクシーだし、レア ・セドゥー はとても美しく、肌が白くておひめさま役にぴったりです。

ですが、シナリオのせいか、演出のせいか、この2人、あまり熱い恋人同士には見えません。

長さを90分ぐらいしにて、サイドストーリーを削ったほうがよかったのではないでしょうか? まあ、あくまで私の好みの問題でしょう。

アマゾンのレビューは高評価です。アマゾンの説明では、「 1740年に書かれたヴィルヌーヴ夫人の原作小説を元に 」とありますが、そんなクレジットはなかったような? 私は、ヴィルヌーブ夫人版は読んでないので、なんとも言えません。

さらに、「 おとぎ話でありながら、大人をも魅了し続ける傑作が、新しい驚きを息吹に、かくも切なく、かくも豪華に生まれ変わる」ともあります。

せつないシーンなんてなかったような?

まあ、フランス語なので、時間があれば、セリフを聞き込みたいとは思います。

予告編のフランス語は、以前、別ブログで訳しています。

「美女と野獣」(2014)予告編のフランス語

ボーモン夫人の原作はこちら:

コメント

タイトルとURLをコピーしました