After the Ball (2015)の感想。

キャットウォーク シンデレラ

タイトルを直訳すると、『舞踏会のあと』となる、カナダの映画を見ましたので感想を書きます。シンデレラのプロットをゆるくベースにした映画です。日本では公開されていないし、たいしておもしろくもないので、今後も日本でDVDが発売されることはないと思います。まず予告編を紹介します。

After the Ball 予告編

う~ん、予告編もいまひとつ。2分半と長いし、もっとおもしろく作ることはできなかったのか?

あらすじ

母親を早くに亡くし、父親(キャッセル・ファッションという洋服の会社のCEO)とは疎遠になっているデザイナー志望のケイトは、ほかのメーカーに就職することができず、父親の会社に入社します(父親から誘いがあったのです)。

しかし、その会社は、父の後妻のエリスが牛耳っています。エリスは実の娘2人と一緒に、悪巧みをしているので、じゃまなケイトを追い出そうとします。

まま姉2人は、ケイトに、ぐしゃぐしゃになっているボタンの倉庫の整理をさせて、自分からやめるように仕向けます。ケイトは、窓際族っぽい、靴のデザイナーのダニエル(王子さまの立ち位置の人)と知り合い、彼に「がんばれ」と言われ、ボタンの整理に励み、倉庫を一変させます。

するとエリスは、今度はわなにはめて、ケイトを首にします。かなり汚いやり方で、ケイトが他社にデザインを横流ししたという濡れ衣を着せます。しかも、その前に、まま姉は、ケイトのデザインした服を自分がデザインしたと言って、父親にほめられています。

正義感の強いpenはここでちょっと憤りました。ここらへんまでは、まあまあおもしろかったのですが。

失望するケイトに、親代わりのカップルが、「別人としてキャッセルに入社し、父親にエリスの正体をあばけ」、とアドバイスします。かくしてケイトは、ネイトという男性デザイナーにふんしてキャッセルに戻ります。

シンデレラ度の考察

シンデレラっぽいところは以下の点です。

  • ケイトが、継母やまま姉にひどい仕打ちを受ける
  • 父親が味方になってくれない(父はケイトより、エリスのいうことを信じる)
  • 王子さまっぽい人がいる(ダニエル)
  • 味方がいる(親代わりのカップル、同僚のモリス、ダニエル)
  • パーティ(デザイン関係の集まり)があり、ケイトがダニエルと踊る
  • ケイトがパーティから出ていくとき靴を落とす。そしてそれをダニエルが拾う
  • ダニエルが、ネイトに靴をはかせて、 実は ネイトがケイトだと実証(?)する(靴による本人の確認)
  • ハッピーエンド(ケイトは父親と仲直りし、 キャッセルに戻り、デザイナーとして活躍。 ダニエルともいい感じでつきあっている。継母とまま姉はキャッセルデザインを追い出される)

しかし、灰まるけの召使いからお姫さまへという、ステイタスが下から上へどーんとあがる逆転の爽快感も、さえない女性が美女にさまがわりするメイクオーバーのおもしろみもたいしてありません。

それと、味方になってくれる人(フェアリーゴッドマザー的な存在)は、エバー・アフターの、レオナルド・ダ・ヴィンチなんかに比べると、存在感が希薄です。

シンデレラのプロットに、シェイクスピアの十二夜(女性が男性になりすます)のアイデアを中途半端に混ぜているからだと思います。

シンデレラでいくなら、シンデレラに徹していれば、もっとおもしろくなったんじゃないでしょうか?

シンデレラ+十二夜にするなら、腕のある脚本家にシナリオを書かせないと、とっちらかります(実際とっちらかっています)。

演技は悪くないけど

私は、主役のケイトも、相手役のダニエルも、わりと好きで、ほかの役者も、演技はまあまあだと思います。ただ、この映画はロマンチックコメディなのに、まま姉2人が、笑いをとれていません。

一応、おもしろいことを言ってる気がしますが、笑えません。この2人にコメディを演じるセンスがないのか、演出がまずいのか?

ケイトがやたらと転ぶのもわざとらしいです。「人を笑わせるのってむずかしいんだな」、とあらためて思わせてくれる映画です。

そんなわけで、個人的には、☆2つ半ぐらいの映画ですが、ファッションに興味があったり、切れのないロマコメでも楽しめたりする人にはおすすめです。

もちろん、私のように、「シンデレラ関係の映画はとりあえず見るプロジェクト」をしている人にも。

アメリカのアマゾンでは、☆5つの評価をしている人もたくさんいます。「リラックスしたいときに、気軽に見られるキュートな映画」という声が多いです。アメリカのアマゾンのプライムメンバーなら無料で見られるので、レビューはたくさん入っています。

無料なら見てもいい映画かもしれません。プライムメンバーはお金を出さないとなれませんが。

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