シンデレラ / アシェンプテル (1989)の感想

鳩 グリム童話

ドイツのテレビ映画、Aschenputtel(アシェンプテル)を見ましたので、感想を書きます。Aschenputtelはドイツ語で「シンデレラ」のこと。 Asche は「灰」という意味です。 英語のash と似ています。まず、予告編 (ドイツ語) をごらんください。

アシェンプテル・予告編(1分40秒)

Aschenputtel (1988) – Trailer

ドイツ語だと何を言ってるのかさっぱりわかりませんが、原作を知っていれば大体の内容は想像つきます。私が見たのは、英語の吹替版です。英語版のタイトルは Cinderella です。

原作はグリム童話のシンデレラ

予告編を見ればわかるように、原作は、ペロー版ではなく、グリム童話のほうです。グリム童話では魔法使いやかぼちゃの馬車、ガラスの靴は出てきません。グリム童話のシンデレラの特徴を簡単に書くと、以下になります。

  • 母親が死ぬ間際にシンデレラに遺言をする
  • シンデレラがハシバミの木を母の墓に植える
  • 王子のお嫁さん探しのお祭りが3日行われる
  • 灰の中の豆を拾えば、お祭りに行ってよい、と継母が言う
  • シンデレラのドレスはハシバミの木が出してくれる
  • ドレスはシルバーとゴールド、靴はゴールド(黄金の靴)
  • シンデレラは、王子さまをまいて逃げる
  • 鳥や鳩がシンデレラの味方
  • まま姉は、つまさきやかかとを切って無理やり足を靴に入れる
  • 最後にまま姉は、鳩に目をつかれて盲目となる

原作に忠実でオーセンティックなシンデレラ

シンデレラを映像化したものはたくさんありますが、グリム童話版は少ないです。よって、原作がグリム兄弟のシンデレラであるというだけで、この作品は見る価値があるでしょう。

この映画は原作に忠実で、特にあっと驚くようなひねりはありませんし、テレビ映画なので、そんなにスケールも大きくありません。

しかし、そのシンプルさが、この映画の魅力だと思います。

原作に忠実ですが、鳩がまま姉の目を突くシーンはありません。しかし、継母が「つまさきを切りなさい、女王になったら、もう歩く必要なんてないのだから」と言いながら、 まま姉に、大きな包丁を渡すシーンはあります(足を切るシーンはありません。そんなシーンはテレビでは放映できないでしょう)。

継母が豆を使ってシンデレラをいじめる場面もあります。原作では豆は灰の中にばらまかれますが、この映画では、継母は、「よい豆と悪い豆をよりわけろ」といい、袋からざざざーっと豆を出します(鳩がつついて、豆をよりわけてくれます)。

シンデレラらしいシンデレラ

この映画のシンデレラは、10代なかばぐらいに見えるので、私的には、シンデレラのイメージにあっています。素朴で楚々とした風情がいいです。顔立ちは美しく芯の強さも感じられる女優です。

「舞踏会に行かせて」と継母に頼んだり、鳩やハシバミの木に、助けを求めたり、ふつうのシンデレラよりもセリフが多いです。

舞踏会に来ていくドレスは、2日目がシルバー、3日目がゴールドで、どちらもシンプルで素敵でした。2日目にシルバーのドレスを着たシンデレラが王子さまと踊って大いに目立っていたので、カラフルなドレスを着ていたほかの女性は、3日目は全員シルバー系のドレスを着ていました(予告編にあります)。そこに、ゴールドのドレスでシンデレラがあらわれたのは、おもしろいシーンでした。

ちなみに、初日のシンデレラの望みは、「王子さまを一目見たい」というものでした。ハシバミの木が、「鳩小屋に行ってごらんなさい。あなたの願いを叶えてあげます」と言うので、そうしたところ、遠くのほうにあるお城がズームアップして、シンデレラにも、王子さまの姿を見ることができました。

実の母と継母の対照

冒頭、すぐに亡くなってしまうシンデレラの母親はとても美しく、いかにもやさしそうな人でした。ハシバミの木に宿っているのは、この母の精です。母の言いつけどおり、信心深く、我慢づよくしていたシンデレラを、母は助けてくれたのです。

継母を演じていたのはディズニー・アニメのような怖い顔の魔女タイプではなく、ふつうにしていたらとてもきれいな女優です。 この女優が、継母をうまく演じていました。 きれいな人なので、より酷薄さが強調されていると思います。いきなり、シンデレラをひっぱたいて憎々しさ満点です。

全体的にメルヘンな雰囲気

継母やまま姉が着ていたドレスは、19世紀のような感じですが、街の人たちが着ていた服は中世の雰囲気がありました。グリム童話の「ブレーメンの音楽隊」に出てくる人々みたいなイメージです(あくまでpen基準)。

王子さまのそばには、小人の宮廷道化師がいて、何かと目立っていました。原作には道化師など出てこないので、彼はこの映画独自の登場人物です。

この道化師が、やたらとよくしゃべり(道化師とはそういうものでしょうが)、王子さまよりセリフが多く、しかも言っていることがあまりおもしろくありません。私なら宮廷道化師より、王子さまにもっとしゃべらせます。

王子さまは、全然ハンサムではありません(pen基準)。もう少しハンサムであってほしいと思いますが、結婚するならこのぐらいのほうが安心かもしれません。

グリムのシンデレラに出てくる王子は、「靴さえ足に合えば、それが自分の后になる人だ」と信じて疑わない、単純な思考の持ち主ですが、そういうおぼっちゃまなところがよく出ていました。

シャロー版のシンデレラ(ディズニー系シンデレラ)や、近年の派手なシンデレラ映画が苦手な人に特におすすめです。

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