童話の世界が舞台のアニメーション映画、Happily N’ever After を見ました。この映画は、日本では未公開のようです。あまりいいできだとは思いませんが、感想を書きます。
Happily N’ever After 予告編
基本情報
- コンピュータアニメーション
- 配給:ライオンズゲート
- 制作はアメリカとドイツ
- グリム兄弟とアンデルセンの童話に基づく(とWikipediaにあります。そう言われればそうですが、違うと思います)。
- 興行収益が制作費を下回っている
- 声の出演は、アメリカの有名な役者
- 一応コメディだけどあまり笑えない
あらすじ
童話の世界にあるお城の上のほうに、童話のセキュリティセンターがあります。
ここには大きな天秤ばかりがあり、ウィザードという老人が、善と悪のおもりのバランスをいつも一定にするようにしています。バランスがとれていれば、それぞれの童話が、本に書かれているように、ハッピーエンドになるのです。
休暇でスコットランドにゴルフに行くウィザードは、2人の弟子に「あとを頼む」と言って、魔法の杖を渡します。弟子は仕事に忠実な豚とあまのじゃくのムササビ(だと思うけどよくわからず)です。
一方、この国には、エラという女の子がいて、まま母のフリーダと、まま姉2人に女中のようにこきつかわれています。
そこへ、王子 (いつもマニュアルを見て行動している頭がからっぽの人間 )の家来で、皿洗いのリックが、舞踏会の招待状を持ってきます。リックはひそかにエラを好きです。
王子に盲目的にあこがれているエラは、フェアリーゴッドマザーの魔法で美しく装い舞踏会へ行きます。
舞踏会の当日、フリーダ(まま母)は、偶然、天秤ばかりのことを知り、セキュリティセンターに押し入って、魔法の杖を奪います。そして、童話の世界の悪役たち全員(人食い鬼やオオカミ、魔女など)を集め、これからは、自分たち、悪者こそが、この世界を牛耳るのだとげきを飛ばします(これが、ハッピリーネバーアフターの世界)。
フリーダが天秤の悪のほうに、童話の本(セキュリティセンターに置いてある)をどんとのせたそのとき、エラの魔法が消え、いつもの女中の姿になります。さらに、塔の上のほうで大きな爆発が起きます。
事態を収拾できるのは、王子しかいないと、エラはリックと2人の弟子とともに、王子を探しに出かけ、計画を邪魔されたくないフリーダは、エラたちに攻撃を加えます。
プロットは悪くないと思うけど
プロットそのものは悪くないと思います。
とくに、王子の皿洗いのリック(彼は物語のナレーションもしています)が、エラを好きという設定はおもしろいのではないでしょうか? ただし、その後、なんのひねりもなく、ただただ、巨人や人食い鬼、おおかみたち、そしてフリーダ自身が、エラや弟子を攻撃し、それに対してエラたちが反撃したり逃げたりするだけです。
攻撃や反撃の仕方は、それなりに変化していますが、本当にこれだけで、映画を見ているというより、人がビデオゲームをやっているのを横から見ているかのようです。
一本調子すぎて、私は途中で寝そうになりました。
主役2人の心理描写をもっとしてほしい
もう少し、エラとリックの性格を掘り下げたらおもしろくなったと思います。王子はおバカの設定で、彼のキャラクターはしっかりわかりました。しかし、王子は主役ではありません。
攻撃シーンを少し減らして、主役のエラとリックの心理描写にもっと時間をかけてほしかったですね。
リックは、リックとして、物語のナレーションをしていて、塔の上にあるセキュリティセンターのことや、フリーダが魔法の杖をうばったことを說明しています。
ということは、この騒ぎがおさまったら、エラは定説どおり、バカ王子と結婚し、ハッピリーエバーアフターになることはわかっているのです(すべてが終わってから、「こんなことがあったよ」と語っているのかもしれませんが)。
つまり、エラを助けると自分は失恋するわけです。ここで、もっと葛藤するべきではないでしょうか?
舞踏会で王子と踊ったとき、エラが王子のバカさ加減に気づかないのも変です。恋は盲目なのでしょうか?
最後、エラは王子ではなく、リックと結ばれます。童話の結末と違うのだから、なぜ、そういう結末になったのか、多少は說明してほしいものです。童話の展開は同じにするセキュリティセンターの話なのですから。
絵柄など
コンピューターアニメーションはそんなに見ていないのですが、ふだん、『シンデレラ物語』を見ているせいか、アニメーションそのものは、きれいだし、ひとの表情もよくできていると思いました。
ディズニーの小人より、この映画に出てくる小人のほうが好きです(白雪姫は出てきません)。
ただ、エラをもう少しかわいくできなかったのか、と思います。
エラは一応、シンデレラです。それなのに、あまりかわいくありませんし、やさしさあふれる性格でもありません(というか、性格描写がたいしてない)。ショートカットにしたのはいいとしても、なぜミニスカートをはいているのでしょうか?
童話のように長いスカートのほうがよかったと思います。全体的に、もうちょっと雅やかな雰囲気があるほうが私の好みです。
フリーダの声は、シガニー・ウィーバーが演じていますが、上手です。ほかの登場人物も、声の演技は水準以上だと思います。ナレーションとリックの声を担当していた、フレディ・プリンゼ・ジュニアの声や話し方は好きです。
エラの声は、フレディ・プリンゼ・ジュニアの実生活での妻である女優のサラ・ミシェル・ゲラーです。
なぜか続編がある
この映画、続編(Happily N’Ever After 2: Snow White—Another Bite )もあります。そちらは、劇場公開なしの、ビデオ映画です。
前作が、制作費をカバーできていないのに、続編があるのが不思議です。
Happily N’ever Afterは、評論家に酷評されていますが、アマゾンなどを見ると、「好きだ」「おもしろい」と言っている人もいます。
ところが、続編は、そういう声は少なく、前作より酷評されています。なので、たぶん見ません。一応、予告編を紹介します。
白雪姫、なんかいじわるそうです。しかも、小人の雰囲気が前作と変わっています。
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