La Belle au Bois Dormant(眠れる森の美女)のあらすじの続きです。
こっそり結婚し、子供も生まれる
食事がすむと、2人は城の礼拝堂で結婚式をあげました。翌朝、王子は自分の城に戻り、父親(王さま)に、狩りに行ったら、森で道に迷い、炭焼きの小屋で食事をごちそうになったと言いました。
王さまはお人好しだったので、この言葉を信じましたが、母である王妃は信じませんでした。その後も、王子は毎日のように狩りに行き、二晩も三版も外泊しては、口実を言うので、王妃は、外に好きな人がいるのだろうと思っていました。
王子は、もう2年もこんな調子でお姫さまと暮らし、子供も2人いました。上の子は女の子で、オロール(Aurore)、下の子は男の子で、ジュール(Jour)という名でした。
王妃は人食いだった
王妃は何度も息子に本当のことを白状させようとしましたが、王子は自分の秘密を母親に言おうとしませんでした。王子は母を慕ってはいたものの、怖かったのです。
というのも、王妃は人食いの種族だったからです。王さまは王妃の財産目当てで結婚したのです。王妃は、小さな子どもたちが目の前を通ると、飛びかかりたいのを必死でがまんしていると、城中のうわさになっていました。
2年後、王さまが亡くなり、王子が王位を継ぎ、お姫さまと結婚したことを国中に知らせました。お姫さまは2人の子供と一緒に宮廷に入りました。
王妃のたくらみ
しばらくして、王(もと王子)は、留守中の政治と自分の家族のことを母親に頼み、隣国のカンタラビュット皇帝との戦争のために出かけました。戦争は夏じゅうかかる予定でした。
王が出かけると、王妃は、息子の妻とその子供を森の別荘に行かせました。王妃はこの別荘で、自分の恐ろしい望みを叶えるつもりでした。
数日後、王妃は別荘に行き、料理人長にこう言いました。「明日のお昼は、オロールを食べたいわ」。「ええっ!?」料理人長が驚いていると、「食べたい。ロベールソース(玉ねぎがベースのソース)で食べたい」と王妃は続けます。
その様子は、まさに、新鮮な肉を欲している人食い女でした。
オロールを殺せない料理人長
人食いには逆らえないと思った料理人長は大きな包丁を持って、オロールの部屋にあがっていきました。オロールは4つでした。料理人長を見ると、オロールは喜んで、にこにこしながら彼の首に飛びついて、「ねえ、お菓子(ボンボン)をちょうだい」とねだりました。
料理人長は泣いてしまい、包丁を落としました。彼は家畜小屋へ行き、子羊の首を切って、それにソースを添えて、王妃に出しました。
「こんなにおいしいもの、これまで食べたことないわ」王妃は喜んで食べました。料理人長は、オロールを連れ出し、自分の妻にあずけ、家畜小屋の奥に隠しました。
1週間後、王妃は、料理人長に言いました。「夕飯にジュールを食べたいわ」。
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原文はこちらを参考にしています⇒ La Belle au Bois Dormant de Charles Perrault
なぜ突然、人食いなのか?
日本で知られている、眠れる森の美女は、王子がおひめさまをキスで起こしたあと、結婚して、末永く暮らした、という幸せな物語だと思います。
しかしペロー版は、このあと、実は人食いだった王子の母が、息子の子どもたち、さらにおひめさまを食べようとする展開が続きます。おひめさまは、100年眠る以外は、変な呪いを魔女にはかけられていないというのに。
ペロー版の下敷きになている5日物語も、こういう展開になっていて、もとは別々の話だったものが、合体してしまったのではないか、と考えている学者もいるそうです。きっとそうでしょうね。
それにしても、いくら人食い王妃の命令でも、4歳のかわいいオロールを殺せはしないですね。王さまの子でもあるし、そんなことしたら、一生夢見が悪そうです。
コメント
まったく童話や民話は強烈ですわね。神話もだけど口承のストーリーにはいつも仰天です。でも、伝承っておそらく事実が元になっているのだろうから作家の手が入っていないものほど本当の姿なのでしょうね。「真実は小説より奇なり」というけれど、まったくそうなのでしょうね。文章作品は芸術家によって美しい形に整えてあるものなのだとしみじみ感じましたわ。
そうですね。童話って、暴力的ですね。だから、ディズニーの童話アニメは、精製しすぎた白砂糖的なところがあります(まだシンデレラ3本しか見てないけど)。
人食い鬼や妖怪は本当にいたとは、私は思わないのですが、そういうものがいると、人間が想像して作り出したのは確かですね。だから、一番怖いのは人間ではないかと思います。
そうですね。伝承民話が息づいていた頃はきっと電灯なんかなくて夜が真っ暗だったので、人間に襲われているにも関わらず鬼だと言って口から口へと伝わり童話になったのでしょうね。今みたいな防犯設備もないし、警察も操作の手段がなくて確認のしようがなかったでしょうしね。民話に出て来る鬼や妖怪は今ではただのスリや痴漢、一番ひどいやつでも殺人犯でしょうね。
夜が暗いとはなんとロマンがあることか!
人間じゃなくて動物かもしれませんよ。先日も、ハイキング中にクマと遭遇して、「もう自分はここで死ぬんだ」といったんは観念した男性の言葉をインタビューで聞きました。
確かに夜は真っ暗だったでしょうね。いま、夜でも、明るいから、星があまり見えませんね。