Year of the Fish (2007) の感想。

金魚 シンデレラ

魚の年(Year of the Fish)という映画を見ました。この映画は、中国のシンデレラ、イェ・シェンのリテリングです。

イェ・シェンは9世紀に書かれた物語ですが、時代と場所を、現代のニューヨークのチャイナタウンにしています。個人的には好きな映画です。最後は思わず泣いてしまいました。まず、予告編をどうぞ。

Year of the Fish の予告編

そこまでお金をかけていない、こじんまりとした映画です。登場人物の大半は中国人という設定です。

Year of the Fish 基本情報。

  • 脚本、監督:  デイヴィッド・カプラン(David Kaplan)
  • 主演:ツァイ・チン、ケン・レオン、ランダル・デュック・キム、アン・グエン
  • 実写の映画ですが、撮影したフィルムにエフェクトをかけていて、ポスターというか水彩画というか、そういう映像になっています。最初見たときは、iPad(で見ていた)がおかしくなったのか、と疑念をいだき、思わず、ほかの映画を見て、調べたほどです。このエフェクトが嫌いだと、映画に入り込めないかもしれません。
  • 物語のナレーターは、魚。ナレーションは最初と最後に入っただけだと思います(うろ覚え)。

中国から出てきた娘

イェ・シェンは小さいときに母を亡くした中国人。父親の仕事がうまくいかず、お金に困っているので、ニューヨークにいる遠縁の女性のもとで働くために出てきます。

本人は、ビューティサロン(美容院)だと思って来たのですが、実はそこはマッサージパーラーでした。はじめて客をとるとき、耐えられず、いきなり逃げ出そうとしますが、初日に、契約書にサインをしているし、パスポートは店主が持っているので、どこにも行くことができません。

それに、アメリカまでの旅費やらは、店主が出しているので、借金があります。まあ、借金をかたに身売りされたようなもので、店主(マダム・スー)は置屋のおかみさんです。

結局、 イェ・シェンは、店の下働きとして、掃除、洗濯、炊事をすることになります。

占い師に魚をもらう

そんなある日、 イェ・シェンは街で奇妙な占い師に手招きされ、金魚をもらいます。この金魚だけが、イェ・シェンの心のよりどころでした。金魚鉢に入れ、毎日えさをやっていたら、金魚はどんどん大きくなり、マダム・スーに、捨てろといわれます。

イェ・シェンは近所にあるすすけた噴水に金魚を放し、毎日、会いに行きます。その姿を後ろからじっと見る同僚の女性。

ある日、マダムに遠くにお使いに行かされ、そのすきに、マダム(あるいは同僚)が、金魚(かなり大きくなっていた)をつかまえ、殺して、スープに入れます。

こんなふうにだいたいイェ・シェンの筋どおりにことは運びます。

シンデレラ度

マダム・スーは、継母、同僚の女性たちはまま姉、イェ・シェンが、公園で見かけて好意をもつ男性、ジョニーが、王子。

フェアリーゴッドマザーは、占い師、そして、突然あらわれる不思議な老人、老人に、魚の骨を持っていけ、と言われた場所にいる、変な工場長、その工場の門番みたいな不思議な3人(これらすべて同じ役者が演じています)。

このように、登場人物はシンデレラと合っています。中国の新年を祝うパーティとして、舞踏会もあります。

ただ、王子さまのジョニーは、金持ちでもなんでもなく、しがないアコーディオン弾きです。しかし、彼はとても誠実な人です。幸い、彼のおばあさんが、お金を持っていて、最後は、イェ・シェンの借金を払ってくれます。

このおばあさんは、クッキーの缶にお金を入れています。一見、貧乏だけど、実はお金を持っていて、とてもやさしいおばあさん。こんなおばあさんになりたいものです。

ピュアなイェ・シェンとやさしいジョニー

おとぎ話のシンデレラは、つらい目に合わされても、そこまで感情移入できない私ですが、イェ・シェンは本当に気の毒だなと思いました。私も同じ移民なので、どこにも帰るところがない、異国で一人ぼっちだ、という気持ちはよくわかります。

この子は、まじめによく働き、マッサージパーラーという場所にいて、マダム・スーの弟のヴェニーにせまられるシーンもありますが、最初から最後まで、ピュアで純粋なところを失いません。

ジョニーもいい人です。あるクラブで演奏したら、ミュージシャン1人につき、50ドルという約束だったのに、客の入りが悪かったから、という理由でバンド全体で50ドルしかもらえません。

しかし、彼は、自分のお金で、ほかのメンバーに50ドルずつあげるのです。彼は、おばあさんと住んでいるのか、よくおばあさんの面倒を見ています。

思ったよりじーんときます

最後は一緒になれて本当によかったです。尚、舞踏会はありますが、靴を落としはしません。考えて見れば、靴を落とすのって、かなり不自然なことです。

エフェクトのせいで、ときどき映像がゆがみ、幻想的な効果が出ているところもあれば、そうでないところもあり、全て実写だったらよかったかも、と思いもします。

ですが、実写にしてしまうと、もっと薄っぺらで通俗的な話に見えたかもしれません。日本では公開されていませんが、ンデレラの話が好きな人にはおすすめの映画です。

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