仙女たち(シャルル・ペロー)のあらすじ-1

仙女たち ペロー童話

ペロー童話集に入っている話で、今日、あまり知られていない『仙女たち』という短い童話のあらすじを紹介します。シンデレラと似た、美しくて心のやさしい少女が出てきます。

実の母にいじめられる少女

昔あるところに、一人の未亡人が、二人の娘と住んでいました。姉は、母親の顔と気質をそっくり受け継ぎ、感じがわるい高慢な性格でした。妹は亡くなった父親によく似て、やさしくて、親切。しかも、誰も見たことがないような美人でした。

人は、自分に似ているものを好むので、母親は姉ばかり、かわいがりました。同時に、下の娘をとても憎んでいました。そこで、次女には台所で食事をさせ、いつも働かせていました。

水をくみに行った先で老婆に会う

妹はたくさん家事をしていましたが、なかでもつらいのは、1日に2回、2キロはなれたところに出向き、おおきなかめにたっぷりと水をくむ仕事でした。ある日、いつものように泉へ水をくみに行くと、ひとりの貧しそうな老婆がやってきて、「水を飲ませてくれませんか?」と娘に頼みました。

「ええ、もちろんいいですよ」。美しい娘は、快く返事をすると、もっていたかめをすすいで、水が一番きれいなあたりで水をくみ、老婆に飲ませました。娘は老婆が飲んでいるあいだ中、飲みやすいように、かめを持っていてあげました。

仙女から不思議な贈り物をもらう

老婆は水を飲み終わると、「あなたはとてもきれいで、やさしくて、誠実なので、贈り物をあげないではいられません」と言いました。実はこの老婆は、この娘がどれほど誠実なのか知るために、まずしい老女に姿を変えていた仙女だったのです。

「あなたには、こんな贈り物をあげましょう。これから、あなたが言葉を言うたびに、口から、花がひとつと、宝石がひとつ出てくるようにしましょう。

贈り物にびっくり仰天する母親

家に戻ると、いつもより帰りが遅かったため、娘は母親に叱られました。娘は「ごめんなさい、お母さま」とあやまりました。すると、娘の口から、バラの花が2つ、真珠が2つ、大きなダイヤモンドが2つ出てきました。

母親はびっくりして、「えええ? 口から真珠やダイヤモンドが出てきたじゃないの。どうしてなの、娘や?」とたずねました。母親が、この娘を、「娘(fille)」と呼んだのはこれが初めてでした。

娘は正直に、泉で起きたできごとをそっくり母親に話しました。そのあいだ中、ダイヤモンドが何個も何個も、口から出てきました。

長女を泉に行かせる母親

「私の娘も、泉に行かせなければ」母はそう思い、「ファンション、ちょっとこっちに来て、妹の口から出てくるものを見てごらん。あんたも、同じ贈り物が欲しくはないかい?」こう、姉娘に言いました。

「ただ泉に水くみに行くだけでいいんだよ。貧しそうなおばあさんが出てきて、水をくれと言ったら、親切にしてあげるだけでいいの」。「水をくみに行けって? ちょっと考えさせてよ」、姉娘はぶっきらぼうに答えました。「行きなさい、今すぐ」、そう母親は答えました。

あらすじの後編に続く・・・

原文はこちらを参照しました⇒ Les Fées (Charles Perrault) – texte intégral – Contes, légendes et fables – Atramenta

今回のポイント

美しい娘は心も美しい

シンデレラもそうですが、おとぎ話では、見た目が美しい娘はたいてい心も美しいことになっています。物語には、美しいだけで、いじわるな人も出てきますが、こういうひねりがあるのは、もう少し時代が下がってからできた話ではないか、と感じます。どちらにしても、外見はひじょうに重要です。これは現代もそうですね。

口から出てくるもの

娘が母親の前でバラや宝石を出したとき話した言葉は、 Je vous demande pardon, ma mère と単語6つです。花や宝石は、単語1つにたいして1つずつ出てくるようです。

バラは、美しさや愛、完璧さ、楽園などを象徴します。花の中でも、もっとも美しいと考えられていて人々に大事にされます。

真珠は、純粋、純真、信心強さ、自己犠牲のこころなどを象徴します。

ダイヤモンドは、完璧さ、威厳、知性、富など、これまたよいものを想像させます。キラキラと光っていますから。この娘の口から出てきた石が原石かカット済みかはわかりませんが。

仙女はたいてい変装している

仙女や妖精は、そのままの姿で出てこず、たいていおばあさんやらに変装しています。おとぎ話を読んでいるだけでは、素の仙女がどういう姿をしているのか、今ひとつわかりません。後編を読むと、どんな姿をしている人にも、親切にすべきだとわかります。

続きはこちら。

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