シンデレラ(シャルル・ペロー版)のあらすじ-4 (終)

雲の中のお城 ペロー童話

ペロー版のシンデレラのあらすじ、最終回です。

靴の持ち主探しが始まる

舞踏会で出会った美女にすっかり心を奪われた王子様は、 「この靴がぴったり合う女性と私は結婚します」というおふれを出しました。

まず、宮廷にいる王女さま、つぎに公女さまが、靴をはいてみましたが合う人はいませんでした。お城の人は、シンデレラの姉のところにも靴を持ってきました。姉たちは、必死に靴をはこうとしましたが、どうしてもはけません。

その様子を見ていたシンデレラは、自分の靴だとわかったので、にっこりしながら言いました。

「私の足に合うか、試してみたいわ」。

靴はシンデレラの足にぴったり合った

姉たちは、笑い出しましたが、靴を持ってきていたお役人は、シンデレラがとても美しいのに気づいたし、全員の娘にはかせてみるよう言われていたので、シンデレラを椅子に座らせました。

シンデレラの足に靴を持っていくと、それは靴にぴったり入り、まるでろうでくっつけたかのようでした。姉たちはびっくりしました。シンデレラが、ポケットからもう片方の靴を出し、ほほえみながらそれをはいたとき、姉たちはもっとびっくりしました。

そこへ代母がやってきて、杖でシンデレラの服にさわると、それは舞踏会で着ていた服より、さらに美しい服に変わりました。

まま姉たちを許したシンデレラ

二人の姉は、舞踏会で出会った美しい人が、シンデレラだったと気づき、シンデレラの足元に身を投げ出し、これまでひどいことをしたとあやまりました。

シンデレラは、姉たちを立ち上がらせ、キスをして、心からゆるします、これからも、私を好きでいてくださいね、と頼みました。

お役人は、シンデレラをお城へつれて行き、王子さまは、彼女がこれまで以上に美しいと感激しました。そして、数日後、王子さまはシンデレラと結婚しました。

シンデレラは見かけが美しいのと同じくらいやさしかったので、お城に二人の姉を住まわせました。そして、自分が結婚したのと同じ日に、姉たちにも、貴族の相手を見つけ、結婚させたのでした。

教訓:美より大事なものとは?

美しさは、たぐいまれな宝です。けれども、やさしさは、それよりも大事なものです。代母は、それをシンデレラに与え、身につけるように教え、それがうまくいったので、シンデレラは女王になれたのです。

親切心は、美しい見かけよりずっと価値があり、人のこころをとらえるものです。妖精の本当の贈り物はやさしさでした。これがないと何もできないし、これがあれば何でもできるのです。

もう1つの教訓:後ろだてになってくれる人が必要

才気や勇気、生まれ、常識、その他の才能を天から与えられても、出世するためには、何の役にもたちません。代父や代母がいないかぎりは。

—- ペロー版、シンデレラのあらすじ、終わり —–

原文はこちらを参考にしました⇒ Cendrillon de Charles Perrault – aLaLettre (あらすじ1-3で使っていた原文には、教訓がついていなかったので、別のを探しました。)

今回のポイント

姉を許したシンデレラ

シンデレラはもともと、長い時間をかけて、口承で伝えられてきた民話です。民話を語るのは、娯楽の提供でもありますが、子どもたちに、モラルを教えるという役割もあります。この話には、しっかりとしたモラルが語られています。

ペローのシンデレラは、「シンデレラと王子さまが結婚して、末永く幸せに暮らしました」、という終わり方ではありません。

「王子と結婚した」と書いてあるだけです。姉たちをお城に住まわせ、結婚相手を見つけてやった、で終わっています。

ひどいことをされたのに、父親に言わずにじっと耐え、家事をして、最後は姉たちを許すところに、シンデレラのよさがあり、それが「やさしさ(grâce)」なのです。

そのやさしさをシンデレラに与えたのは代母ですが、それは魔法でちょいちょいと出したのではなく、洗礼のときから、シンデレラを見守り、導いてきて、シンデレラもしっかりそれにこたえたのです。

☆代母の説明は、あらすじの2に書いています。

現代人のシンデレラのイメージの大部分は、1950年のディズニーのアニメがベースになっていると思います。ディズニーのアニメは、あまりモラルが感じらないため、多くの人が、「シンデレラはたまたま美しく生まれて、 何もせず、 魔法使いのおかげで、玉の輿に乗っただけ」だと思っています。

しかし、ペローのシンデレラは、もともと高貴な身分ですし、どんなに姉たちにからかわれても、いつも親切にふるまい、家事をしていた、芯がとおった女性です。いつもやさしい人でいることは、そんなに生半可なことではありません。

後見人の重要性

この物語では、代母がいいタイミングで表れて、魔法を使ってシンデレラを助けています。この代母のように、困ったときに頼りになる人がいないと、出世できません、とペローは言っています。

これは、ペローのプロフィールの記事でも書きましたが、ペローの身の上に起きたことや、宮廷での派閥争いを見て感じたことが投影されていると思います。

本人自身に何らかの良さがないと引き立ててくれる人は表れないので、ここでも、シンデレラの行いが重要です。シンデレラと縁のある人が、後見人にアピールすることもあるので、人脈が大事だよ、友達や家族を大事にしなさいよ、というモラルもありそうです。

親切でいなさい、人を許しなさい、人脈を大事にしなさい。どれも、現代に通じる考え方ではないでしょうか?

おまけ情報

妖精(魔女)の登場、かぼちゃの馬車、ガラスの靴は、ペローのオリジナルのアイデアです。どれも、きらびやかで、いかにもフランスの宮廷という感じがしますね。ガラスの靴については、「本当はガラスの靴じゃない」という論争もあります。それについては、また別の機会に取り上げます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました