かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ(グリム兄弟)のあらすじ

かえる グリム童話

グリム童話集の一番最初の話である、『かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ』のあらすじを紹介します。

先頭に持ってくるのにふさわしい、おもしろい話です。

簡単な要約(時間のない人用)

泉に落とした金のボールを取ってきてくれたら、一緒の皿から食事をし、一緒のベッドに寝ると、おひめさまがカエルと約束する。

しかし、ボールを受け取るとおひめさまは一人で帰ってしまう。

翌日おひめさまの食事中に、カエルがやってきて、約束の履行を要求。事情を聞いた王さまは、おひめさまに約束を守るように言う。おひめさまは、なんとか食事は一緒にしたが、一緒に寝ることはどうしても耐えられない。

「約束を守らないと王さまに言いつける」とカエルが言うので、頭に来たおひめさまは、カエルを力いっぱい壁に投げつける。すると、魔女の呪いがとけてカエルは素敵な王子に変身し、2人は結婚する。

一方、王子の家来のハインリヒは、王子がカエルにされて以来悲しくて、心に鉄の帯がまきつけていたが、呪いがとけたので、王子と花嫁を祖国に連れていくとき、帯が1つずつはずれる。

金のまりを落とすおひめさま

昔むかし、美しい娘たちを持つ王さまがいました。特に末の娘はことのほかきれいでした。王さまの城のとなりに、大きくて暗い森があり、菩提樹の下に泉がありました。

末のおひめさまは、泉のはしに座って、金のまりを上に放り投げてはキャッチして遊ぶのが大好きで、よくそうして遊んでいました。

あるとき、まりを受けそこね、まりは地面に落ちると、ころころ転がり、泉に落ちました。泉はとても深く底が見えません。

おひめさまが悲しんでいると、「どうしたの? おひめさま?」という声がします。

カエルと約束するおひめさま

おひめさまがあたりを見回すと、醜いカエルが水から頭を出していました。「ああ、あなたなのね。金のまりが泉に落ちちゃったから泣いてるの」。

「それなら、私が取ってきてあげます。でも、もうし私がそうしたら、代わりに何をくれますか?」

「なんでもあげるわよ。ドレスでも、パールでも、宝石でも、この王冠でも」。

しかし、カエルはそういう物はいらないと言います。

「もし、あなたが私を愛してくださり、友達にしてくれて、食事の席で隣に座らせ、あなたの金のお皿から一緒に食事をさせ、あなたのカップから飲み物を飲ませ、あなたのベッドで眠らせてくれると約束するなら、まりを取ってきてあげましょう」。

「いいわよ。まりを取ってきてくれたらそうすると約束するわ」。

口ではそう言ったおひめさまでしたが、心の中では、「この馬鹿ガエル、何言ってるのかしら? カエルって水の中にいるもんでしょ? 人間と友達になれるわけないじゃん」と思っていました。

おひめさまがイエスと言ったので、カエルはすぐに水の中にもぐり、まりを取ってきてくれました。

喜んでそのまりを受取ると、おひめさまはそのまま走って帰ってしまいました。

「待って、待って。僕はそんなに速くは走れません」、カエルがそう言うのが聞こえましたが、おひめさまはガン無視しました。

城にやってくるカエル

翌日、おひめさまが王さまと食事をしていると、大理石の階段の上を何かが行く音がし、それは上まで来ると、ドアをノックしました。

「おひめさま。一番下のおひめさま。ドアをあけてください」。

おひめさまが、ドアを開けると、きのうのカエルがいます。ぎょっとしたおひめさまは、バタンとドアを閉めるとテーブルに戻りました。

その様子を見た王さまに事情をきかれたので、おひめさまはきのうのできごとをすべて話しました。

またドアをノックする音が聞こえます。「下のおひめさま。開けてください。きのう、僕に言ったこと、お忘れじゃないですよね?」

王さまは、「約束は守らなければならないよ。カエルを中に入れなさい」とおひめさまに言いました。

いやいやカエルと食事をするおひめさま

おひめさまはしぶしぶドアを開けると、カエルを招き入れ、王さまに言われてカエルを隣に座らせました。カエルはぴょんとテーブルの上に乗り、自分のほうに皿を動かすよう、おひめさまに言うと、うれしそうに食事をしました。

一方、おひめさまは、やっとのことで食べました。

おなかがいっぱいになったカエルは、「では、寝室に連れていってください、そして一緒に寝ましょう」と言います。

おひめさまはぞーっとして泣き出し、カエルにさわろうともしません。王さまは怒って、「困ったときに助けてくれた者を嫌うんじゃない!」と言いました。

おひめさまは、2本の指で、カエルをつまむと階段をのぼり、カエルを寝室のはしっこに置きました。

王子さまに変身するカエル

おひめさまがベッドに横になると、カエルがそばにやってきました。

「疲れました。僕もあなたのように寝たいです。僕をベッドに入れてください。じゃないと、王さまに言いますよ」。

これを聞いて、頭に来たおひめさまは、カエルをつかむと、力いっぱい壁に投げつけました。

「これで静かに眠れるでしょ? この馬鹿ガエル!」

カエルが落ちたとき、もうカエルではなく、やさしい目をした素敵な王子さまになっていました。そして、おひめさまの父の王さまの意向で、王子さまはおひめさまの花婿となりました。

王子さまは、魔女にカエルに変えられていたのを、おひめさまが泉から助け出してくれたのです。

ハインリヒの鉄の帯がはずれる

翌朝、王子さまの忠実なる家来、ハインリヒが立派な馬車を率いてやってきました。

王子さまが、カエルになって以来、ハインリヒは、とても悲しくて、心が張り裂けそうだったので、それを防ぐために、心臓に鉄のバンドを3本巻いていました。

ハインリヒは、王子と花嫁を馬車に乗せると、自分は馬車の後ろに立ち、祖国に向かって出発しました。ハインリヒは喜びでいっぱいでした。

途中で、王子さまは、何かがパチンと壊れる音を聞きました。王子さまは、後ろを振り返って、ハインリヒに、「馬車が壊れてるんじゃないのか?」と聞きました。

「いえ、いえ、王子さま、馬車は何ともありません。私の心にまきつけた帯がはずれた音です」。

王子さまは、その後、2回、何かがはじける音を聞きました。それは、これから幸せになる運命にある王子の忠実なる家来、ハインリヒの心にまきついていた帯がこわれてはずれる音だったのです。

原文はこちらを参照しました⇒ Grimm 001: The Frog King or Iron Heinrich

なぜタイトルが2つあるのか?

この童話のタイトルは、 『かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ』 とちょっと長いです。『かえるの王子』と訳されていることもあります。

家来のハインリヒは、最後にちょっと出てくるだけで、ほとんどここはエピローグなのですが、彼の名前もタイトルになっているのが、興味深いです。

いかに、彼が忠臣であったのか、忠義を尽くすことがいかに大事なのか言いたいのかもしれません。

あるいは、いかに彼の悲しみが大きかったか、そして、王子さまが元の姿に戻ったことが、いかに素晴らしいことであるのかを、鉄のベルトが音をたててはずれる開放感で表しているのかもしれません。

教訓

この童話の明らかな教訓は、約束は守らなければいけないということです。しかも、約束を守ればいいことが起きるのです。

それにしても、このおひめさま、美しい人ですが、あまり性格はよくありません。頭もあまりよくないです。泉のそばでボールを放り投げていたら、そりゃあ、いつかは水の中に落ちるでしょう。

彼女は、醜いカエルを馬鹿にしているし、はなから約束を守る気はありません。しかも、カエルを力任せに壁に投げつけるって、どれだけ性格が悪いんでしょうか?

まあ、ちやほやされて育てられた、おひめさまらしい行動ではあります。また、「いやなものは、いや」、とはっきり意思表示できる、近代的なおひめさまとも言えます。

おひめさまの怒りにまかせた行動のせいで、王子の呪いがとけたので、おとぎ話にはめずらしく、おひめさまの意思決定や意思表示をポジティブにとらえている話と言えるかもしれません。

それにしても、王子はなぜ、カエルにさせられていたんでしょうね。魔女の気まぐれのせいでしょうか。

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