ハーメルンの笛吹き男(ディズニーのアニメ、1933)の感想。

お城と運河 グリム童話

ディズニーが、ハーメルンの笛吹き男の話をアニメ化した、The Pied Piper を見ました。7分32秒の短編アニメです。YouTubeにありますので、そのまま紹介します。映画の著作権は、公表後70年で切れるので、このアニメはパブリックドメインだと思います。

ハーメルンの笛吹き男

Walt Disney's Fables – Pied Piper

作品情報

  • 監督:ウィルフレッド・ジャクソン(1928年から1961年まで、ウォルト・ディズニー・プロダクションの社員。アニメーターとして活躍)。1937年のアニメ、『白雪姫』制作にもかかわった人です。
  • 公開:1933年9月16日
  • Silly Symphony(シリー・シンフォニー)という、ディズニーの短編アニメシリーズの1本。このシリーズは全部で75本あります。
  • 歌とセリフですすめるオペレッタ風のアニメ
  • 原作はたぶん、ロバート・ブラウニングの詩である、The Pied Piper of Hamelin(1842)。笛吹き男の服装も黄色と赤で、詩と同じです。デザインは違いますが。

あらすじ

時は中世。ハメルンにネズミが大量発生して街の人が困っていた。市長が人々を集め、ネズミ退治をしてくれた者には金貨を一袋あげるという。

そこへ、赤と黄色の服を着たひょろながい男がやってきて、自分がねずみを退治すると言う。

男が、手にしていたクラリネットを吹いたら、街なかのネズミがぞろぞろ出てきて、あとをついていく。男は、道の向こうに大きなスイスチーズを出し、ネズミたちは一匹残らずこのチーズ入り、チーズもろとも消えた。

男が、「約束の金貨をくれ」と市長に言うと、市長は、「なんでおまえに金貨をやらねばならんのだ。おまえは笛を吹いただけじゃないか」と言う。街の人も、「そうだ、そうだ」と言う。

市長は、金貨を1枚だけ、男に投げてよこした。

男は怒って、「街の子どもたちが、こんな嘘つきで、人に感謝できない人間にならないようにする」と言って、今度は笛で子どもたちを集める。

仕事をしていた子どもたちは、みな笛の音色につられて、男の後をついていく。山まで来ると、男は、笛の音色で岩肌を破り入り口を作る。するとむこうは、お菓子や遊園地がある楽しい世界だった(joyland)。子どもたちはそこで、いつまでも幸せに暮らした。

暗い話を明るい話にしてしまうディズニー

以前、グリム童話の『ハーメルンの笛吹き男』の内容と、童話のもとになった史実を紹介しましたが、この伝承話は、きわめて気味が悪いと私は思います。

ところが、ディズニーのアニメではなんだか楽しい話になっています。子どもたちは、踊りながら笛吹き男のあとをついていきます。

しかも、その前は、全員、洗濯やら薪割りやら、つらそうな仕事をしています。中世は子どもたちもいろいろ仕事をさせられていたとは思いますが、それにしても、大人は仕事をしておらず、子供だけです。

このアニメにおいて、笛吹き男は、子どもたちの救世主という扱いです。

ブラウニングの詩では、やはり足の悪い子供がいて、歩くのが遅く、山のむこうに行きそびれました。この子が、ほかの子は、楽しい国( joyous land )に言ったといいます。

しかし、ディズニーのアニメでは、松葉杖をついていた子供の足が治ってしまい、彼も中に入ります。

この楽園は、まるで後年できるディズニーランドみたいですね。

1933年。アメリカはまだ大恐慌が続いていたので、こんな明るい話にしたのかもしれません。

ブラウニングの詩は、最後に、 If we’ve promised them ought, let us keep our promise. とあり、約束は守らないといけない、でしめていますが、ディズニーアニメのほうはそのようなモラルは提示されていません。

ただ、大人の強欲さや、身勝手さを皮肉っていますね。

ブラウニングの詩はこちらで全文読めます⇒ The Pied Piper of Hamelin by Robert Browning – Poems | poets.org

アニメーションはわりと好きな色合い

アニメの色合いや形、動き方はわりと好みです。大量発生しているネズミは、まるでゴキブリのようで、不気味ですが。

この作品ができたのは1933年。昭和8年です。そんな昔にこんな作品を作っていたなんて、さすが、ディズニーはアメリカのアニメーション産業の先駆者というだけのことはあります。

『眠れる森の美女』を見たときも思ったのですが、私は古いアニメのほうが、色合いがシックで、いいと思います。

動きもゆっくりめだから、落ち着いて見られます。最近のアニメは、動きが速すぎて、まるでビデオゲームのようなものがあり、見ていて疲れます。

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