Sydney White という、ゆるく白雪姫を下敷きにした映画を見ました。現代のアメリカの大学を舞台にした学園コメディです。
なんと邦題は、『 シドニー・ホワイトと7人のオタク 』。いや、彼らは全員がおたくではありません。メインストリームではない、アウトサイダー、はみ出し者といったほうが合っています。
1980年代の学園コメディで、先の見えるストーリーですが、まあまあ最後までおもしろく見られました。
シドニー・ホワイト 予告編(2分13秒)
基本情報
- 監督:Joe Nussbaum
- 主演:アマンダ・バインズ(シドニー・ホワイト)、サラ・パクストン(レイチェル、金持ちのいわゆるビッチキャラ。シドニーの天敵)、マット・ロング(タイラー・プリンス、王子様の立ち位置の人だけど、王子様的オーラはなく、ふつうにいい人という感じ)、ジョン・シュナイダー(シドニーの父)
- 2007年9月21日、アメリカにて公開。108分
- 日本未公開、DVDも出ていないようですが、アマゾンでレンタルして視聴可能。
- ロマンチック・コメディのティーンムービー。
あらすじ
17~18歳ぐらいのシドニー・ホワイトは9年前に母をなくし、ずっと配管工(プラマー)の父とその仲間たちに囲まれて育ちました。亡くなった母は、大学の社交クラブ(sorority)で、充実した時間をすごし、姉妹のような友達を得たと書いた手紙をのこしています。
シドニーも、大学に入ったら、社交クラブで、すばらしい友達を見つけ、楽しい学校生活を送ろうと夢みていました。シドニーの性格は、この手の映画によくある、まっすぐで明るい女の子です(ワンパターンすぎます)。
しかし、社交クラブを牛耳っているのは、レイチェル・ウィッチバーンという、金持ちで高飛車でワンマンな美人女性生徒でした。
レイチェルは、庶民派のシドニーが気にいりません。さらに、レイチェルの元ボーイフレンド(レイチェルは今も気があるらしい)のタイラーが、シドニーを気に入り、親しげに話しかけることも許せません。
結局、プレッジ(クラブに入る人を選抜するプロセス)を無事終えた最後のダンスの日に、レイチェルは、シドニーを社交クラブから追い出します。
行くところがなくなったシドニーは、7人のはみだし者の学生が住んでいるVortexというボロボロの建物にころがりこみます。
「(学生総代でもあるレイチェルが自分たちの利益しか考えず)予算がもらえなくてボロ家なんだよ」という7人の話を聞き、シドニーは、「このままずっとしいたげられてるなんて、だめ。みんなで協力して、次の総代選挙に勝つのよ」と7人に発破をかけ、最後は自分が総代に立候補し、レイチェルと一騎打ちとなります。少数のエリート対その他大勢の戦いです。
白雪姫のモチーフがあちこちに出てくる
ストーリーそのものは、よくある学園もので、特筆することはありません。話自体は、全然、白雪姫ではありませんが、『白雪姫』が好きな人なら、「あ、ここ白雪姫だ」と思うところはいくつかあります。
たとえば、
- シドニー・ホワイトは 早くに 母を亡くしている
- レイチェル・ウィッチバーンは、邪悪な女王にあたる(名前も、ウィッチ witchだし)
- 王子さまも一応いる
- 学園の人気者のランキング(Hot or Notという名のサイトで対象は女子学生のみ。これ、セクハラだと思うんですけど)を発表するサイトがあり、レイチェルはしばしばこのサイトをチェックして、「きょうも私が1位だわ」と満足する。しかし、途中から、どんどんシドニーのランキングがあがり、最後には、シドニーが1位になる。
- 7人のアウトサイダーは、ディズニーアニメに出てくる小人のキャラクターを踏襲しているらしいけど、今いちよくわからない(後述)。
- 7人がハイホーと言いながら、プラカードを持って歩くシーンがある(予告編にもあります)。そのあと金槌をふって、プラカードを地面に打ち付ける。
- レイチェルは、ハッカーの学生に頼んで、シドニーにウィルスつきのメールを送る。宿題のレポートを書いていたシドニーが、このメールを開封すると、すべてのデータが消えてしまう。届いたのはポイズンアップル(毒りんご)。アップルは、アップル社のアップルで、シドニーのモニター上でアップルのクリップアートがこなごなにくだける。
- レポートの期限は翌日で、その日は、総代を決めるディベートがあり、徹夜で図書室のレポートを書いていたシドニーは、朝、教授にレポートを送ると、そのまま椅子の上で眠ってしまう。ディベートの時間になっても表れないので様子を見に来たテイラーが、眠りこけているシドニーにキスをすると、シドニーはぱっちり目をさます。
- ストーリーには関係ありませんが、 Vortexに立ち退き命令の札がはられているのを見て、7人の1人が、This is grim, brothers (これは、残酷だよ、諸君)と言う。これは Grimme Brothers (グリム兄弟)にかけていると思います。
7人の小人をもっと魅力的にしてほしかった
上に書いたように、7人の小人にあたる生徒たちは、みな、ディズニーの小人と同じ特徴をもたせているようです。
それぞれの名前は覚えられませんでしたが、こんな面々です。
Doc ( 先生):やたらとアカデミックで難しいことばかりいう学生
Sneezy (くしゃみ):アレルギーの学生、レニー
Sleepy (ねぼすけ):ナイジェリアかどこかの国の留学生で、ずっと時差ボケのために昼間は寝ている。
Grumpy (おこりんぼ):怒りながら、いつもブログを書いている学生?
Dopey(おとぼけ):ひもが結べなくて、ジュニアスカウトからボーイスカウトにあがれない学生?
Bashful (てれすけ):手にはめたマペットの言葉としてしか、話をできない学生?
Happy(ごきげん):女性学生と性行為をしたいと強く願っている学生?
この人たち全員、dork(変なやつ)なのですが、それにしても、変すぎます。つまり、奇をてらいすぎています。
しかも、レニー以外は、描き方が一面的なので、もう少し、掘り下げて、人間らしい魅力を出してほしかったところです。アニメに出てくる小人のほうが、かわいげがあります。
過去記事に、小人の名前を書いています。
見始めてすぐは、アマンダ・バインズ、芝居が下手だなあ、と思ったのですが、だんだん、魅力的な女の子に見えてきます。他愛のない映画ではありますが、人によっては、元気な気分になれる映画かもしれません。
制作された時代が同じせいか、シドニーは、『シンデレラ・ストーリー』のヒラリー・ダフと同じように、2つ折りの携帯電話を使っています。
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