ジェーン・エア(2006、BBCミニシリーズ)の感想。

ムーア 美女と野獣

シャーロット・ブロンテの小説、Jane Eyreのドラマの感想です。今回は、BBCが制作した2006年のミニシリーズです。

セリフは原作とはずいぶん違うし、「いや、ジェーン・エアはそんなことは絶対しない」と思うシーンがありますが、主役の2人は感じがいいし(好感がもてる)、シナリオのテンポもよく、わりといいできだと思います。

まあ、単に私の好みにあっているだけかもしれません。小説にそったアダプテーションが好きな人には向きません。

ジェーン・エア 予告編(30秒)

テレビで放映される前の番宣ふう、予告編です。

Jane Eyre 2006 Trail

バックで現代的な音楽が流れていますが、本番ではちゃんとピリオドドラマにふさわしい、クラシカルな音楽が使われています。

作品情報

  • 演出:Susanna White
  • 脚本:Sandy Welch
  • 原作:ジェーン・エア/シャーロット・ブロンテ
  • 主演:ルース・ウィルソン(ジェーン)、トビー・スティーブンス(ロチェスター)
  • 60分X4話。全部で240分ですが、途中でCMが入るみたいで、1本の正味は53分ぐらいです。
  • ロマンスを強調した、セクシーで、いい意味でわかりやすい『ジェーン・エア』です。

子供のころのジェーンがかわいい

冒頭は、子供のジェーンが砂漠を歩いているシーンで、まるでSFのような雰囲気で、「え?」と驚かされます。

小説では、「その日は雨だったから、散歩には出なかった」で始まるのですから。このシーンは、ジェーンの空想です。ジェーンは、『ガリバー旅行記』や、英国のいろいろな鳥の図鑑を愛読していて、いろいろなことを空想していた、という設定なのでしょう。

砂漠のシーンのあと、ゲーツヘッドの室内になり、ジェーンは、いきなり、リード夫人の長男、ジョンに、分厚い本を投げつけられます。

出番は少ないのですが、子供のジェーンを演じた人は、しもぶくれぎみの、私の好みの顔立ちです。

Georgie Henleyという名の女優です。

こちらはローウッドスクールで、ブルックルハーストさんに、「みなさん、この子は神をも恐れぬ、うそつきです。口を聞いてはいけません」と全校生徒の前で、うそつき呼ばわりされ、台の上でさらしもののされるシーンです。

ジェーンは正直な子であり、ブルックルハーストさんのほうがよっぽど偽善者なのですが。

ローウッドでは、洗面器の水が凍っていて、それをかち割って顔を洗うシーンもあります。

そんなふうに、映像的にはいろいろおもいしろいのですが、残念ながら、全部で240分あるのに、子供の頃のシーンはゲーツヘッドとローウッドあわせて15分ぐらいです。

YouTubeで、カットされたシーンを集めた動画を見てみたら、エピソード1から子供の頃のシーンがたくさんカットされていたので、編集の段階で捨てられたものが多かったのでしょう。

好感度の高いジェーンとロチェスター

戸外でピクニックをするシーン(4分)

Jane Eyre (2006)_ Third conversation

ルース・ウィルソン演じるジェーンは、意志が強くて1本筋がとおった、小説のジェーンの性格をうまく出していいます。ロチェスターのことをだんだん好きになるところや、友だちから恋人になる展開がしっかり描かれていると思います。

トビー・スティーブンスのロチェスターは、わけのわからなさ加減が希薄なので、最初は、「ふつうの人っぽいかも」と思いましたが、そのぶん好感度が高く、ジェーンが好きになるのも納得できます(この点、1983年のティモシー・ダルトンは濃すぎるロチェスターとも言えます)。

トビー・スティーブンスのロチェスターは、不機嫌になったり、苦悩したりもしますが、おちゃめなところや繊細さ、やさしさが感じられます。

とても、醜男には見えませんが。

この小説は、最初のタイトルは、Jane Eyre: An Autobiography(ジェーン・エア:自伝)であり、28歳のジェーン(ロチェスターと結婚して10年後)が、これまでの自分の身の上を語るものです。

ジェーンにとって、ロチェスターは、自分をどこまでも惹きつけてやまない、最愛の人ですから、彼が魅力的に描かれていないと、説得力がありません。

この点、このドラマは、「ああ、ジェーンはロチェスターが大好きなんだね、そりゃあ、そうよね、あの人、いろいろ魅力があるもんね」と思えます。

よくわからないシーンもあるけど

同じBBCの1983年のミニシリーズから20年以上たっていて、いろいろと撮影機器や技術が進歩したせいか、映像はとてもきれいです。

しかしよくわからないシーンもあります。上に貼った予告編の26秒ぐらいのところに、窓から赤い布切れがひらひらしているシーンがありますが、あの布切れ、わりと何度も出てくるのです。あれはいったいどういう意味なのでしょうか?

追記(2020/03/03)最近、また見てみたところ、これはバーサが昔使っていたスカーフだとわかりました。バーサが、このスカーフをロチェスターに投げて、気を引くシーンがあります。

その後、狂人となったあと、このスカーフを窓に結びつけていたのでしょう。しかし、そんなことすると目立つので、ふつうなら、そんなことはさせないはずですが。

ここに、バーサ(ロチェスターの妻)が隔離されているということ? でも、彼は、妻のことは隠していたのですから、わざわざあんな布切れをつけて、人目を引くわけはありません。それとも、あの布切れは、バーサのいる部屋から人目をそらすための、かかしのような役割をしているのでしょうか?

やはり25秒あたりで、ロチェスターのベッドが燃えているシーンがあります。ものすごくしっかり燃えています。まるで焼却炉のようです。あんなに燃えているのに、なぜロチェスターはすやすやと寝ているの?

第一、熱いでしょう? それに焦げくさくないのか? と思ったりもします。彼のベッドが燃えるのは、これから2人の恋の炎が燃え上がる象徴だから、思いっきり燃やしているのかもしれません。

結婚式が頓挫した後、ロチェスターがジェーンとベッドの上に横になって、話すシーンがあります。ロチェスターが、結婚はできないけど、ふたりで暮らそうとか、いろいろとジェーンを説得して、ジェーンの首筋をなでたりします。

ベッドカバーの上に横になっていて、着衣で話しているから、いわゆるベッドシーンではありません。しかし、もちろんこんな「寝台シーン」は小説にはありませんし、ジェーン・エアがそんなことをするはずもありません。

これはラブシーンを見せるためのシーンと言えます。このシーンは別になくてもよかった、と私は思います。これを削って、もう少し子供時代を長くやってほしかったですね。

とはいえ、ジェーン・エアのエッセンスを現代風に抽出したうまい脚本で、私はわりと好きなアダプテーションです。

*****

トビー・スティーブンスは、マギー・スミスの次男で、お父さんも有名な俳優ですが、いろいろな役をうまく演じる人だと思います。

私が好きなのは、『シンデレラ』の意地悪な姉の役をよくやっているルーシー・パンチと共演しているVexed( オレたち、ゆる刑事 ~ジャック&ケイト )というコメディドラマです。

トビー・スティーブンスがどうしようもなくアホな刑事をやっていますが、ルーシー・パンチと相性がよく(この2人の刑事はお互いに相容れないのですが、変テコさ加減が同じで、2人合わせると、さらに変テコになります)、笑えます。

しかし、このコンビはたった3話で解消してしまいました。ルーシー・パンチは降板して、第2シーズンではほかの女優が、ジャックの相棒を演じています。

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