ウォルト・ディズニー制作のアニメーション映画、Frozen (邦題:アナと雪の女王)を見ました。
覚えやすい歌と、スケールの大きなアニメーションで、姉妹愛を描いた作品です。
説明不足の部分があると思いますが(私の理解不足か?)楽しい映画です。
ディズニーのオリジナルのストーリーですが、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの『雪の女王』に出てくるキャラクター(雪の女王)にヒントを得て作られました。
アナと雪の女王、予告編
2分半
作品情報
制作:アメリカ、ウォルト・ディズニー
監督:クリス・バック、ジェニファー・リー
脚本:ジェニファー・リー
3Dコンピュータ・アニメーション、102分。
ミュージカル仕立て
エンドクレジットで、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの『雪の女王』にインスピレーションを得た、と出てきます。
しかし、話は、『雪の女王』とはまったく違います。
原題の Frozenは、「凍りついた」という意味。
エルサ(雪の女王のキャラ)が魔法で、自分の国、アレンデールを凍らせてしまったこと
ほかの人を傷つけないために、1人で閉じこもっていたエルサの気持ち
エルサの氷攻撃のせいで、凍りついたアナ
こんなものを意味していると思います。
凍りついたものをとかしたのは、愛情であり、エルサが魔法をコントロールできるようになったのも、愛情をもてばいい、と気づいたからです。
-凍りつき(恐怖)VS 愛
-自分らしさを大事にしよう
-姉妹愛(自分より相手の幸せを優先する)
こんなテーマがわかりやすい形で出てきます。
あらすじ
エルサとアナは、アレンデールという国のプリンセス。長女エルサは、生まれつき、氷や雪を出し、そのへんのものをバリバリ凍らせる不思議なパワーを持っている。
2人で遊んでいるとき、エルサがあやまってアナの頭に、凍らせる攻撃をしてしまい、アナがみるみる冷たくなるアクシデントがあった。
父親の国王と、母の女王は、トロール(石ころみたいなからだで愛嬌のある生き物)のところへアナを連れていき、治療をたのむ。
トロールは、アナからすべての記憶を取り去る治療をし(しかし、楽しい思い出は残す)、エルサに、「おまえの魔法はすばらしいが、使い方を間違えると、とても危険だ」と警告する。
エルサは、緊張したり、恐れを感じると、無意識に魔法を使ってしまうようだ。
父親は、「大丈夫、エルサはちゃんとコントロールできるようになる。その日まで、魔法のことは秘密にしよう」と言う。
かくして、一緒の部屋に寝ていたエルサとアナは、別々の部屋で暮らすことになり、共に遊ぶこともなくなった。
エルサは終始手袋をし、父親に「魔法のことは秘密だ。使ってはいけない」と言われつづけ、1人で部屋に閉じこもりそのまま成長する。
2人が18歳ぐらいになったとき、国王と后が船の事故で亡くなり、エルサが王女になる戴冠式が行われる。
このとき、アナが、式で出会ってひとめぼれした、ハンスというよその国の王子と婚約すると言い出し、これがもとでアナとエルサは口論になる。
アナは、はずみでエルサの手袋をひきはがし、恐れが頂点に達したエルサは、あたりのものを次々と凍らせ、そのまま城から逃げる。
エルサのパワーが強力なので、夏だったアレンデールは、いきなり冬になり、雪に閉ざされる。
アナは、エルサを追いかけるが…。
見どころ1:氷の宮殿
一番の見どころはアニメーションです。
いろいろな物が次々と凍ったり、あたりが吹雪になったりする描写は美しくも寒々しく、夏の暑い日に見ると涼めるのではないでしょうか?
寒いところに住んでいる私は、雪や氷の冷たさが身にしみているので、見ながら本当に寒くなりました。
特に、開き直ったエルサが、これまで使うことをがまんしていた魔法を一気に開放して建てた氷の宮殿は見事です。
大きなスクリーンや3Dで見ると迫力があって感動するでしょう。
アナが、肩がむきだしのドレスで(マントはしていますが)、雪山を歩くのは不自然ですが(とっくに凍死するはず)。
見どころ2:音楽と歌
ミュージカルなので、歌がいろいろ出てきます。どれもキャッチーで覚えやすい歌で、サウンドトラックを聞いているだけでも楽しめます。
歌詞がうまく物語を進めます。
エルサが歌う、Let It Go(レット・イット・ゴー)が一番有名ですが、私は、エルサを連れ戻しにきたアナが、エルサを説得するときに歌い始め、2人のデュエットになる、For the First Time Forever(生まれてはじめて) という歌が好きです。
この歌は2回出てきますが、reprise のほうね。
3分42秒
見どころ3:真実の愛
上で紹介した動画の最後で、アナが、エルサの攻撃(本人は意図していない)を、胸に受け、倒れます。
心に氷のかけらが入ったアナは、どんどん冷えていきます。
トロールが、「真実の愛のキス(ディズニーによく出てくる true love’s kiss)を受ければ、アナは助かる」、というので、クリストフ(氷を売っている人で、アナと一緒に、エルサを探していた。実はアナが好き)が、ハンス(よその国の王子)のもとにアナを運びます。
しかし、ハンスは、アナを本当には愛しておらず、むしろアナを見殺しにしようとします(ハンスの狙いはアナの王国)。
全身が凍って氷の彫像になってしまったアナを。氷から人間に戻したのは、エルサでした。
その前に、半分氷になりながら、アナが、エルサに向けられた剣を自分で受けようとしており、アナのエルサへの気持ちが、自分自身を溶かしたとも言えます。
通常のディズニーアニメだと、王子様やらが、真実の愛のキスをしますが、この映画では、姉妹の真実の愛が、問題を解決したという設定になっています。
ここはちょっとユニークですね。
見どころ4:魔法を使えるプリンセス
私はディズニーの映画はあまり見ていませんが、プリンセスは、たいてい、魔法をかけられる対象であり、魔法を使うのは、魔法使いとか魔女、その他のちょっと変わった生き物です。
この映画では、プリンセスが魔法を使うところがおもしろいです。
こうしたプリンセス像は昔は考えられなかったでしょう。
アナも、問題解決のために、積極的に動くし、ともに現代的なプリンセスです。ダブルヒロインというのも、めずらしいです。
それにしても、ものをばりばり凍らしてしまう雪の女王というのは、かなりおもしろいキャラクターですね。
火を吹くドラゴンとは違った怖さがあります。
火あぶりと氷漬け、あなたはどちらがいいですか?
残念な部分
私の好みから言うと、全体的に物語をはしょりすぎている気がします。
戴冠式の場で、はからずも、魔法を披露したエルサは、雪山を歩きながら、Let it go を歌いつつ、「もういい子でいるのは終わりよ、これからは私らしく生きるわ」と宣言します。
なぜ、いきなり、こんな境地になったのでしょうか?
国民の前で、大々的に魔法を使ったから、開き直ったと、一応、私は解釈しています。
あるいは、両親が死んで、自分を止める人がいなくなったからでしょうか?
いまは、エルサが女王ですから。
ただ、アレンデールの女王ではなく、自分1人が住む氷の宮殿の女王になるつもりで、let it go と歌っています。
自分らしさを取り戻すまでのプロセスがもっとあったほうが、説得力があると感じます。
プロセスと言えば、アナとエルサが幼いとき、いかに仲のいい姉妹だったか見せる場面も、もっとあったほうがいいかもしれません。
それと、ハンス(よその国の王子)のいきなりの心変わりにも驚きました。
いや、彼は心変わりなどしておらず、最初から、アレンデールを自分のものにするために、アナに近づいたと言っています。
そのわりには、心変わりを見せる場面の前では、まったくそんな素振りがありません。
「え、この人悪者だったの?」という展開です。
ハンスの悪人ぶりも、もう少し匂わせてほしかったですね。
サントラ盤
アナとエルサが、離れ離れ(同じ城に住んでいるけど)に成長し、エルサが、自分を殺し、アナが寂しい思いをしたという悲劇が起きたのは、父親の教育方針のせいです。
「魔法をコントロールできるまで、人々に魔法のことを隠そう」と父親は決めました。
そのわりには、コントロールの方法を教えている場面などありません。ひたすら「魔法を使うな、隠せ」というだけ。
これはまずいでしょう? 魔法はエルサの大きな個性の1つなのですから。
しかし、この父親、この映画では、いい人みたいに描かれています。続編のFrozen II でも、わりと登場して、「よき父、よき国王」という扱いです。う~ん、納得いきません。
続編のレビューはこちら。
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