エバー・アフター:シンデレラの物語(1998)の感想

オートフォール城 シンデレラ

シンデレラの実写では、一番のでき、と言われているエバー・アフター(Ever After: A Cinderella Story)を見ました。うわさどおり、よい映画だと思います。まず予告編です。

エバー・アフターの予告編

舞台は16世紀はじめごろのフランスで、フランスの Château de Hautefort(シャトー・ド・オートフォール)などでロケをしています。

映画の冒頭と最後は19世紀はじめあたりで、ジャンヌ・モローふんする貴婦人が、自宅にグリム兄弟を呼び、「あなたたちの出した民話集、読んだわ。おもしろかったけど、シンダー・ガールの話、あれはいただけないわね。だってね、本当はこうだったんだから」と物語に入ります。

エバー・アフターの基本情報

  • 監督:アンディ・テナント
  • 主演:ドリュー・バリモア、アンジェリカ・ヒューストン、ダグレイ・スコット
  • ジャンル:コメディ要素のあるハートウォーミングなロマンス。ロマコメと書いてあったりしますが、そこまでコメディ度は高くないと思います。
  • 「シンデレラってね、実在したのよね、ただのおとぎ話じゃなくてさ」という導入で始まる、ドラマ性の強いシンデレラストーリーです。以下に、この映画の魅力を書きます。

魔法は出てこない

シンデレラは本当にいたんです、という設定なので、魔法は出てきません。しかし、アッシュペットの記事で紹介した、シンデレラの物語をシンデレラたらしめる4つの要素はちゃんとあります。

不幸な境遇の少女

ドリュー・バリモア演じるダニエルは幼いとき母と死に別れ(母の顔すら覚えていません)、8歳のとき、父親も亡くなります。父が亡くなったのは、再婚相手である男爵夫人(アンジェリカ・ヒューストン)を家につれて来た翌日。以来、10年間、ダニエルは召使いとしてこき使われています。

味方になってくれる人

レオナルド・ダヴィンチ、昔からいる3人の使用人、幼馴染のグスタフ、下のまま姉のジャクリーヌはダニエルにやさしいです。

ダヴィンチは、ダニエルがまま母に閉じ込められていた部屋の鍵をあっさり開け、ダニエルのドレスに羽をつけたり、王子のところに、ダニエルが落としたガラスの靴を持っていったりと、重要な行動をしています。

ダンス・パーティ

ダヴィンチの歓迎パーティとして、お城で仮面舞踏会が開かれます。このパーティで、王さまは王子の結婚相手を発表するつもりでした。肝心のダヴィンチは、ダニエルの家に行って、鍵をあけたり何だりしていたので、パーティには出ていません。

靴による本人の確認

この映画では、ダニエルと王子は舞踏会のずっと前に知り合って恋に落ちていたので、わざわざ確認する必要はありません。一度はダニエルと別れた王子が、やはり自分の相手はダニエルだ、と思い直し、靴を持って、ダニエルのもとを訪れます。

靴をはかせることで、王子は自分の気持ちを伝え、その靴をはくことで、ダニエルは王子の気持ちにこたえる、お互いの愛情の確認として、靴が使われます。ロマンチックですね。

強いシンデレラ

ダニエルは、やさしい性格ではありますが、頭がよく、勇気があり、運動も得意。自分の意見をはっきりいう近代的な女性です。

彼女が灰でよごれているのは、かまどのそばで寝ているからですが、横になったまま、いつも、父親にもらった、トマス・モアの『ユートピア』を読んでいます。

父親は読書好きで、ダニエルにたくさん本を読んでいました。そうやって培った教養が、王子と親しくなるきっかけとなります。王族の人たちは 意外と 教養のある女性にひかれるようです。

なりすまし

シンデレラと王子が舞踏会以前に出会っている場合、よくあるのは、シンデレラ側が、王子を王子だと気づいていない設定です。

しかし、この映画では、他人になりすますのはダニエルのほうです。ダニエルは(お金を持っていた)農民の娘ですが、まま母が税金を払う代わりに役人に差し出した使用人を助けるために、貴族のふりをして、お城にいきます。

役人に直談判しているダニエルの姿を見て、王子は彼女を気に入ります。その後、貴婦人としてのダニエルが王子と時間をすごすうちに、お互い愛し合うようになりますが、ダニエルは、なかなか自分の本性を言えません。

本性が王子にばれたとき、王子は、ショックを受け、ダニエルから去ってしまうのです。

さっさと言わないダニエルも悪いのですが、この王子、人の話を聞かないタイプです。人間味があって、魅力的な王子ですけどね。もちろん、乗馬や剣術も得意です。

脇役の人たち

ドリュー・バリモアの魅力全開の映画ですが、脇を固めている人たちも、いい演技をしています。ダ・ヴィンチは天才なのに、とても人間味のあるおじいさんです。

「私は農民の娘だから」とひるむダニエルに、ダ・ヴィンチは「わしだって農民の息子だ。それがどうした?」と彼女を勇気づけます。

下の姉も、母親にさからえないものの、ダニエルにやさしく、心がなごみます。

この母親、上の娘ばかりかわいがわり、下の娘をこけにしているし、長女(上の姉)も、妹をばかにしています。母親は策士、長女は高慢ちきで、そういう性格の悪さを演じきっていました。

長女役の女優は、世間的な尺度で言ったら、ドリュー・バリモアより美人ですが、美人がいじわるすると、意地悪度があがります。

アンジェリカ・ヒューストンのまま母もよかったです。

本当の母を知らないダニエルは、継母に、母親として、少しでも自分のことを愛してほしいと願い、ずっと言われたことをやってきました。しかし、その気持ちは継母に通じなかったとわかるシーンは、とてもかわいそうです。

ほかにも、風景や衣装など、見どころがいろいろあり、2時間の映画ですが、退屈しませんし、セリフもいいです。シンデレラ好きの方には、おすすめの映画です。私も何度か見て、セリフを聞き込む予定です。

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