眠れる森の美女(シャルル・ペロー版)のあらすじ(2)

眠れる森の美女のベッド ペロー童話

眠れる森の美女、あらすじの続きです。

静かに眠るお姫さま

驚いた老女の声に、人々がかけつけてきて、お姫さまの顔に水をかけたり、服の紐をといたり、手やこめかみをこすったりしましたが、お姫さまは起きません。

王さまは、城の一番きれいな部屋の、金と銀の糸でししゅうをしたベッドに お姫さまを寝かせました。眠ってはいるものの、ほほはばら色、唇はさんご色のお姫さまはとても美しい姿でした。

この騒ぎを聞いて、100年の眠りをほどこした仙女がやってきました。この仙女は先のことを考え、お姫さまが目覚めたとき、ひとりぼっちにならないように王さまと王妃をのぞいた、城中の者たちを全員杖でさわり、眠らせました。

馬や馬丁、番犬、お姫さまの愛犬もいっしょです。王さまと王妃は城を出て、城には誰も近づかないよう命じました。

15分もしないうちに、城のまわりに、木や茨がにょきにょきはえてきて、誰も城に近づけなくなりました。外からは、塔のてっぺんしか見えません。

100年後

100年後、べつの王さまが国をおさめていました。この王さまの王子が、狩りをしているとき、木に囲まれた塔を見て、「あそこはいったい何なのだ?」と皆にききました。

人々は、幽霊が出る城、魔法使いの会議場、人食い鬼が子供を監禁している場所などと、いろいろ言いました。

なんか信用できない話だな、と王子が思っていると、1人の農民がこう言ったのです。

「50年以上前、父から聞いた話では、あの城には、世界でもっとも美しいお姫さまが眠っておいでだそうです。100年眠ったあと、ある王子さまに起こされて、その方と結婚なさるのだとか」。

この話をきいた王子は体がかっかとしてきました。「自分が、この美しい冒険の物語に結末をつけよう」と思い、塔のほうへ向かいました。

お姫さまの目覚め

王子が森のほうへ進んでいくと、木や茨が道を開いて、王子を通しました。王子はどんどん先に進みましたが、王子が通ると、また木や茨が道をふさぐため、お供の者は、ついていくことができませんでした。

城の前の広い庭に入った王子はぞっとしました。そこには、人間や動物が、死体のようにごろごろ転がっていたからです。しかし、よくよく見ると、みな眠っているだけでした。

城に入ると、番兵や貴族が、思い思いの姿で眠っていました。

金色に輝いた部屋に入ると、15か16歳ぐらいのお姫さまが、光り輝いて横たわっています。王子はその美しさにすっかりみとれました。そして、お姫さまのそばにひざまづいたその時、お姫さまが目をさましました。

いきなり恋に落ちる2人

お姫さまは、とてもやさしい目で王子を見ると、「あなたが、私の王子さまですか? ずいぶん、長くお待ちもうしていましたわ」と言いました。その声や言い方に魅了された王子は、自分の喜びをうまく言葉にできず、「私は、自分よりも、あなたを愛しています」と、口ごもりながら言いました。

お姫さまは、王子の言葉に好感を持ちました。愛すれば愛するほど、その気持ちはうまく言い表せないものですから。

王子はどきどきしていましたが、お姫さまは落ち着いていました。王子に会ったら、なんといおうか考える時間はたっぷりあったからです。親切な仙女は、お姫さまに楽しい夢を見させてくれていたのでしょう。

2人は4時間も話し込んでいましたが、お互い言いたいことの半分も言えませんでした。

そのうち家来たちもみな起きて、食事の支度をはじめました。みな、とても空腹だったのです。

つづきはこちら。

原文はこちらを参照しました⇒ La Belle au Bois Dormant de Charles Perrault

ペロー版は、ペンタメロンに基づいている

眠れる森の美女の話を有名にしたのは、シャルル・ペローですが、ペローは、ナポリの民話集、ペンタメロン(Pentamerone ペンタメローネ、5日物語)にあった話をベースに書いている、とアメリカのウィキペディアにあります。

ペンタメロンの作者は、ジャンバティスタ・バジーレというイタリアの詩人/軍人で、ペンタメロンは彼の死後の1634年に出版されました。この本は、独特のナポリの方言で書かれているため、20世紀になって、歴史学者が、いまのイタリア語に翻訳するまでは、イタリア人であっても、なかなか読めなかったそうです。

ペローは1628年生まれなので、ペンタメロンを手にすることはできたでしょう 。でも、ペローはそういう特殊な書物を読めてしまったのでしょうか? 彼は勉強好きで、ラテン語とギリシャ語は子供のときからスラスラ読んでいたようですが。

宮廷の童話を楽しむ会で、イタリア語が得意な同僚と一緒にこの本を読んだか、口頭で、内容を聞いたのかもしれません。

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