『白雪姫と鏡の女王』(Mirror Mirror)を見ました。子供から大人まで楽しめるファンタジー映画という路線です。感想を一言で書くと、「長かった…」となります。
白雪姫と鏡の女王 ・予告編(2分33秒)
基本情報
- 監督:ターセム・シン
- 原作:グリム兄弟『白雪姫』
- 主演:ジュリア・ロバーツ(悪の女王、wicked queen)、リリー・コリンズ(スノウ・ホワイト/白雪姫)、アーミー・ハマー(プリンス)、ネイサン・レイン(ブライトン、女王の側近)
- 衣装:石岡瑛子(石岡瑛子さんの遺作です)
- 上映時間:106分
あらすじ
子供のとき、父親を亡くした白雪姫は、まま母の女王に、ほぼお城に監禁された状態で育ちました。まま母は、国のことはいっさい考えない統治者で、考えていることと言えば、ぜいたくをすることと、自分の容姿のことだけ。美容に身をやつし、ドレスや靴、舞踏会に国民の税金を使っています。
お金を使いすぎて、女王は破産寸前です。
王様(白雪姫の父)がいたときは、楽しくほがらかに暮らしていた国民は、なかば死んだように暮らしています。18歳になった白雪姫は、こっそり街に出て、国民の様子を見てびっくりします。
その道すがら、白雪姫は、小人たち(盗賊をして生計をたてている)に襲われて、身ぐるみはがされ逆さにぶらさげられていた王子とその側近を助け、このとき、王子に心ひかれます。
王子は服を借りに、女王の城に出向きます。女王はこの王子と結婚して財政を立て直すことにし、舞踏会を開きます。
舞踏会で、白雪姫は王子と踊り、お互いに恋心をつのらせます。それを見て危機感を感じた女王は、側近のブライトンに、白雪姫を森で殺してくるよう命じます。
ブライトンは、白雪姫に命乞いされ、彼女を逃します。森の中で倒れている白雪姫を見て、小人たちは家に連れ帰ります。
白雪姫らしさ
大筋は白雪姫といえるし、重要アイテムの鏡とりんごも出てきます。ですが、すべてひねりを加えていて、これが映画をおもしろくするのに、そこまで貢献していません。
ひねりの例:
- 女王と対話する鏡には、もうひとりの女王が映っている。鏡の中の女王は魔法を使うことができる。
- 女王に惚れ薬を飲まされて、彼女を慕う愛犬になってしまった王子の魔法をとくとめに、白雪姫のほうからキスをする。
- 役人から力で国民のお金を取り返すために、白雪姫は、小人たちに盗賊団のメンバーにふさわしいスキルを教わり、強い姫になる
- 最後の結婚式で、老女になってしまった女王から差し出されたりんごを白雪姫は食べない。
いいと思ったところ
ビジュアルはきれいです。衣装や建物はこっています。
登場人物で一番好きだったのは7人の小人たちです。それぞれ個性があり芸達者です。言い争いばかりしているようで、肝心のところは一致団結して、白雪姫を助けます。
白雪姫役のリリー・コリンズは、フィル・コリンズの娘ですが、とてもかわいいです。最後の結婚式のシーンでは、オードリー・ヘップバーンそっくりの髪型とメイクで登場します。
白雪姫らしいかと言われるとなんとも言えませんが、この映画の白雪姫は、意志の強い、戦うプリンセスなので、ぴったりの容姿ではないでしょうか。
ジュリア・ロバーツは、ふつうに安定した演技を見せています。この女王は悪人で、かなりひどいことをやりますが、あまり悪い人には見えません。
一応、容貌の衰えを気にしていますが、先日見た、フェアリーテール・シアターの白雪姫に出てきた女王(ヴァネッサ・レッドグレイブ)に比べたら、たいして悩んでいるようには見えません。そういう意味では、今ひとつ深みがない女王です。
今ひとつだと思うところ
この映画、コメディですが、ほとんど笑えません。まあ、字幕なしで見たので、ギャグをキャッチできなかったのかもしれません。
ですが、視覚的なギャグもあまり笑えませんでした。
王子は何度も身ぐるみはがされ、女王に惚れ薬を飲まされて、犬になったりします。
いきなりゴキブリになってしまった側近が、人間の姿に戻るとき、ゴキブリらしい姿でフロアの上でもがいていたりもします。こんなふうに、笑いを狙っているところがたくさんありますが、私の笑いのつぼに、はまりませんでした。
何より、ストーリーがおもしろくありません。はらはらどきどきする場面なんて1つもないし、白雪姫と王子のロマンスも感じられません。感動で胸がいっぱいになることもありません。
映画の冒頭、女王のナレーションで、「昔むかしあるところに。。。」とこれまでのできごとが語られます。最後も、「こんなふうに、白雪姫の話は終わりました」と、女王が語ります。
女王の視点から、白雪姫のリテリングするのかな、と思いきや、あいだの展開は、客観的な視聴者の視点です。女王の事情がよくわかるようにはなっていません。
女王、白雪姫、王子、小人たち、それぞれに見せ場がありますが、かといって群像劇でもなく、焦点がぼけた仕上がりに感じます。
とはいえ、アマゾンのレビューを見ると、思いのほか高評価で、皆ほめています。たまたま私に合わなかっただけなのでしょう。
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