ペンギンを主人公にしたアニメーションで、シンデレラの物語をリテリングしているショートフィルムを見ました。長さは10分です。
制作したのは、 National Film Board of Canada(NFB) という、カナダの国営の会社です。NFB自体が、この作品をYouTubeにあげているので、全編紹介します。セリフのないアニメーションです。
シンデレラペンギンのやさしい物語
The Tender Tale of Cinderella Penguin 基本情報
- 監督、脚本、制作:Janet Perlman(ジャネット・パールマン)
- ジャネット・パールマンはカナダのアニメーター、児童書の作家、イラストレーター。
- この映画はアカデミー賞(アニメのショートフィルム部門)にノミネートされました。
- 1991年にこの映画をもとにした絵本、Cinderella Penguin, or, The Little Glass Flipperが発売されました。
とくにひねりのないリテリング
動画を見るとわかるように、シャルル・ペローのシンデレラを素直にアニメーションにしています。ほかと違うのは、出演者(?)全員がペンギンということと、ガラスの靴ではなく、ガラス(たぶん)の潜水用の水かきが出てくるところです。
冒頭、バロック音楽をバックに、シンデレラが、姉たちにいじめられ、家事をしているところは、わりとおもしろいと思いました。姉たちのヘアスタイルが中世風でいいし、いじわるもインパクトがあります。
しかし、ペンギンがシンデレラをやっている異様さに、わりとすぐに慣れ、あとは、さしたる感激がないまま終わりました。
舞踏会も中世風でやってほしかった
この映画、全員ペンギンで、ネズミもペンギンであり、これをフェアリー・ゴッドマザーが馬に変えたら、まるでおっとせいのようで、ここは少し笑えました。
舞踏会に到着すると、いきなり現代風の音楽になったのは、ちょっと残念。私は雅やかな雰囲気が好きなので、舞踏会も中世でいってほしかったです。
それと、なぜ、王子が、シンデレラをダンスの相手に選ぶのかよくわかりません。だって、全員同じ顔じゃないですか。シンデレラは冒頭から、あたまに金色の巻毛(?)のかつらをかぶっており、舞踏会では、ティアラにピンクのマントも身につけていたから、これが差別化になったのかもしれません。
水かきによる本人の確認
この映画が、ふつうのシンデレラとちょっと違うのは、最後の水かきによる本人を確定するシーンです。シンデレラは、姉たちに、地下室におりる階段にとじこめられますが、扉(ふた)をしめたとき、片足がはさまって、外に出たままになります。
姉たちが、水かきを奪い合っているうちに、それが空中を飛んでシンデレラの足にぱかっとはまるのです。はははは。
王子がシンデレラを助け出し、手をとると、まま母たちが、頭を下げ、さらに、カーツィ(curtsy ひざをまげてするお辞儀)をします。シンデレラより、継母とまま姉2人のほうが芸達者だと思います。
シンデレラの物語のパワー
もしかしたら、1981年当時は、この映画は新鮮だったかもしれません。しかし、その後、いろいろなシンデレラの映像作品が実写、アニメとも制作され、そのいくつかを私は見ているので、もう少し、独自の味付けがあればよかったと感じます。
それにしても、ペンギンまでシンデレラになるなんて、本当にこの物語は、人々に愛されているというか、クリエーターに、作品を作らせたいと思わせるパワーがあるのですね。
絵本は、キンドル版で読むことができます。
絵本も、読みました。絵本のシンデレラはもっと髪がふさふさしています。これが、かつらに見えて、不自然です。髪型ではなく、顔かたちを変えて、美しさを強調するアプローチはとれなかったのでしょうか?
コメント
最高です!面白い!わたしは舞踏会が現代風なのも良いと思いました。シンデレラと王子のダンスがタンゴなのも「技あり!」と思いました。ただ、シンデレラの美しさについて、他ペンギンとの差別化に関しては同感です。たとえペンギンといえども顔のバランスや表情はもっと表現の方法はありますもんね。でもコレ、最高傑作だと思いますよ。今まで見た動画の中で、わたしは一番好きです。
気に入っていただけてよかったです。私はもうちょっとかわいい感じのペンギンのほうが好きです。
あのフェアリーゴッドマザーの説明で、どうやって、12時に魔法がとけると理解できたのかも謎です。