グリム童話から、The Ungrateful Son(原題は Der undankbare Sohn)という童話を紹介します。
日本語のタイトルは、「親不孝なむすこ」「恩知らずの息子」などがあります。
この話の特徴は、
・ものすごく短い
・アンハッピーエンド
・自業自得
です。
すごく短いので、ごく普通に訳します。
親不孝なむすこ
ある男が妻と、家のドアのそばに座っていました。2人の前にはチキンの丸焼きがあり、これから食べるところでした。
すると、男の年老いた父親がやってきたので、男は、急いでチキンを隠しました。誰にもチキンを分けたくなかったからです。
年老いた男は、飲み物を飲んだだけで去って行ったので、男は、チキンをテーブルの上に戻しました。
するとあらびっくり。
チキンがヒキガエルに変わっており、いきなり男の顔に飛びついて、決して離れません。
他の人が、ヒキガエルを取ろうと近寄ると、ヒキガエルはすごい形相でその人をにらみ、今度は、その人の顔に飛びかかりそうだったので、誰もヒキガエルにさわろうとしませんでした。
親不孝なむすこは、結局、毎日ヒキガエルに餌をやることになりました。そうしないと、彼の顔を食べるからです。
そうやって、彼は、一生、心が休まることがありませんでした。
原文⇒Grimm 145: The Ungrateful Son
親孝行しましょう
この童話の教訓は、とてもストレートで、「親孝行せよ」です。
特に、食べ物などは積極的に親にシェアしなければなりません。
現代の人にはピンと来ないかもしれませんが、この当時、鶏の丸焼きはものすごいごちそうでした。
今の感覚で言うと何になるでしょうか?
今の日本では、一般庶民がけっこう贅沢な食生活をしているので、中世のドイツにおける鶏の丸焼きと同じ立ち位置の食べ物を思いつきませんが、とにかくすごいごちそうだったのです。
この童話を改めて読むまで気づきませんでしたが、ローストチキンは、ヒキガエルと形がちょっと似てますね。
それにしても、親にごちそうを分け与えなかった男の受けた罰は強烈です。
一生、顔にヒキガエルがくっついているなんて。しかも、毎日ヒキガエルに餌をやらないと、自分の顔をかじられるなんて。
悔やんでも悔みきれなかったことでしょう。
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