ねずみと鳥とソーセージ(グリム兄弟、1857)のあらすじ。

かわいい鳥 グリム童話

グリム童話から、ネズミと鳥とソーセージが出てくる話を紹介します。

原題は、 Von dem Mäuschen, Vögelchen und der Bratwurst 英語のタイトルは、The Mouse, the Bird, and the Sausage 邦題は、『はつかねずみと小鳥と腸づめの話』というのが多く見られましたが、私は、そのまま『ねずみと鳥とソーセージ』としました。

いまどき、ソーセージを腸づめと呼ぶ人、あまりいないですよね。ひじょうに短い童話です。

超簡単な要約

忙しい人向け1行サマリー:それぞれが役割をもち、平和に同居していたネズミと鳥とソーセージが、あるとき、鳥の提案で役割を交換したら、みな死んでしまう話。

鳥、ネズミ、ソーセージの共同生活

昔、ネズミ、鳥、ソーセージが同じ家に、長く、平和に、豊かに暮らしていました。

鳥の仕事は毎日、空を飛んで森に行き、木(薪用)を取ってくること。ネズミは、水を運び、火をおこし、テーブルのセッティング。ソーセージは調理担当でした。

ふと不満を感じる鳥

安穏に暮らしている者は誰でも、何か違ったことをしてみたいと思うものです。あるとき鳥は、別の鳥に会い、「おまえは損している。 おまえがきつい仕事をしている間に、ほかの2人は楽をしているぞ 」と言われます。

確かに、ネズミは火を起こし、水を運んだあとは、食事のお皿を並べるまでは、部屋でのんびりできるし、ソーセージは、鍋のそばで料理をするだけです。食事の時間近くになると、ソーセージは、ポーリッジや野菜の中に、自分自身をすべりこませ、油分を加え、味付けをします。

鳥が木を運んでくると、皆で食事をし、それから朝までぐっすり寝るという生活をしていました。

役割交換を申し出る鳥

次の日、鳥は、森に行くのを拒否し、自分は何年もきみたちの召使いをやったから、ここらで役割を変えようと提案します。

ネズミとソーセージは抵抗しましたが、鳥がリーダー格だったので、しぶしぶ役割を変えることに同意しました。

ソーセージが木を取りにいき、ネズミが調理、鳥は水運び(と火をおこすのと、テーブルのセッティング)です。

悲惨な結果になる

その結果はどうなったでしょうか?

ソーセージは、森へ行き、鳥は火をおこし、ネズミは火に鍋をかけ、ソーセージが木を持ってくるのを待っていました。

ところがソーセージはなかなか帰ってきません。心配した鳥が森に様子を見に行くと、犬が、ソーセージを食べたというではないですか。

鳥はショックを受けつつ、自分で木を家に持ち帰り、ネズミに事情を説明しました。

2人はとても悲しみましたが、これから2人でがんばって暮らしていこうと誓い合います。

鳥がテーブルをセッティングしている間に、ネズミは食事のしたくをしました。

ところが、ネズミは、ソーセージがやっていたように、味付けをするため、鍋に身を投げたら、やけどしてそのまま死にました。

鳥がそろそろ食事にしようと思っても、料理をしていたはずのネズミがいません。鳥は木をあっちにやり、こっちにやりして、そこら中でネズミを探しましたが、見つかりません。

探しているときに、うっかり鳥は、木に火をつけてしまい、火は家に燃え移って火事になりました。鳥はあわてて水を取りに行きましたが、バケツごと井戸に落ち、溺れ死にました。

原文はこちら⇒ Grimm 23: The Mouse, the Bird, and the Sausage

うまくいっているなら変えることはない

このお話に教訓があるとすれば、それぞれが自分の役割に徹して、よけいな願望はもたず、そのまま暮らしなさい、ということになります。とくに、それがうまくいっているときには。

おじいさんは山に柴刈りに、おばあさんは川に洗濯に、というパターンを毎日繰り返せ、というわけです。

日本にも、海彦、山彦という兄弟の神話があります。海彦は海で、魚をいっぱいとり、山彦は山で農業をし、作物をいっぱいとり、2人は海の幸と山の幸を交換しつつ、豊かに暮らしていました。

ところがあるとき、役割を交換したら、山彦は、海で、海彦の大切にしていた釣り針をなくしてしまうというトラブルが発生します。

お互いに自分が得意なことをやっていれば、平和にいきますよ、適材適所なんですよ、というのがこうした話の説くモラルでしょう。

しかし同じことばかりしていると発展はない

確かにそのとおりですが、毎日同じことを繰り返していると、人間飽きますし、いまやっていることが必ずしも、自分の適性に合っているとも限りません。また、自分も生活環境も日々変化します。

別のことを担当するともっとうまくいく可能性もあります。

私は同じパターンを繰りかえさず、ときどき、役割を交換してみるのもいいと思います。そのほうが、お互いに対して、より感謝できますしね。

ただし、役割を変えるときは、少しずつ慣らし運転しながらするべきでしょう。

童話の3人はいきなり役割をがらっと変えてしまったので、死んでしまったのです。ソーセージに木を取らせるなら、鳥は、1週間ぐらい、一緒に森に行って、ソーセージに仕事を引き継ぐべきでした。

そうすれば、犬という危険がひそむことも事前に察知できたでしょう。ネズミについても同様です。

生活習慣を変えたいなら、少しずつやるのがいいですね。

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