ジンジャーブレッドマンのあらすじを紹介します。英語では、The Gingerbread Man または、The Gingerbread Boyです。
ジンジャーブレッドマンとは?
ジンジャーブレッドマンは、よくクリスマスに登場する、人型のしょうがクッキーですが、このお菓子が主人公の話です。
内容はとてもシンプルで、オーブンから逃げ出したジンジャーブレッドマンが、狐につかまるまでのいきさつ。
「シンプルすぎて、ブログに書く価値ないかも、しかも、夏場に」と思いましたが、書くことにしました。
もともとは、1875年に、St. Nicholas Magazine『聖ニコラマガジン』に The Gingerbread Boy というタイトルで載った話です。
『聖ニコラマガジン』は、昔アメリカにあった、月間子供向け雑誌。
そこで、この話はアメリカの民話と呼べると思い、そうタイトルに入れました。
しかし、似たようなストーリー、つまり、食べ物が逃げていく話は、いろいろな地域にあるそうです(Wiki情報)。
お留守番する孫
昔々あるところに、おじいさんとおばあさん、そして孫の男の子がいました。
ある朝、おばあさんが、人の形をしたしょうがクッキーを作り、オーヴンに入れたあと、孫に言いました。
「ジンジャーブレッドマンを見ていてね。おじいさんと私は、庭仕事してるから」
その後、おばあさんは、外に行って、おじいさんと一緒に、じゃがいもを堀り始めました。
男の子は、はじめこそ、オーヴンを見ていましたが、そのうち、空想を始め、オーヴンから目をそらしました。
逃げるジンジャーブレッドマン
突然、物音がして、はっとした男の子がオーヴンを見ると、扉があいており、ジンジャーブレッドマン(長いのでここからGBMと呼びます)が飛び出して、家のドアのほうに走っていくところです(足を使って走るというよりも、クッキーなので、そのままジャンプするというか、転がっていく感じかもしれません。走っているアニメもありますが)。
男の子は、ドアを閉めようと、あわてて走りましたが、GBMは足が速く、ドアから出て、階段もおりて、どんどん向こうのほうに行ってしまいました。
男の子は尚もGBMを追いかけました。おじいさんとおばあさんを呼びながら。
孫の声を聞いたおじいさんとおばあさんも、GBMを追いかけましたが、GBMはあっという間に行ってしまいます。
息を切らした3人は、あきらめて、土手にへなへなと座り込みました。
井戸を掘る2人
GBMが、どんどん走って行くと、井戸を掘っている2人の男に出会いました。
男たち:「GBM、どこへ行くんだい?」
GBN:「おじいさんとおばあさんと男の子から逃げてきたところだ。おじさんたちにもつかまらないよ!」
男たち:「へ~、そうかい? 本当にそんなことできるか見てやろうじゃないか」。
そう言って、男たちはGBMを追いかけましたが、GBMは逃げ足が速く、捕まえることができません。
ほどなくして、2人は、道端に座り込みました。
溝掘りの男たち、クマ、オオカミも振り切るGBM
しばらく行くと、GBMは、溝を掘っている男2人に会いました。
男たちは、井戸掘りの男と同じセリフを言い、GBMも同じ返答をします。
ただし、「おじいさんとおばあさんと男の子と、井戸掘りから逃げてきたところだ」とセリフが増えています。
井戸掘りたちも、GBMをつかまえようと追いかけましたが、やはりつかまえることができませんでした。
「GBM、どこ行くの?」「~から逃げてきたんだ。僕をつかまえられっこない」「どーれ、見てみよう」という場面が、この後、クマとオオカミで2回続き、GBMは、振り切って逃げます。
キツネと出会ったのが運の尽き
数々の追手を振り切って逃げてきたGBMは、フェンスの角に寝ているキツネに出会います。
キツネ:「どこ行くんだい、GBM?」
GBM:「僕は、おじいさん、おばあさん、男の子、2人の井戸掘り、2人の溝掘り、クマ、そしてオオカミから逃げてきたんだ。キツネさんにもつかまらないぞ!」
キツネ(GBMのほうに首を向けながら):「え? よく聞こえなかった。もう少し、こっちに来て話してくれる?」
この時、GBMは、この話が始まって以来、初めて足を止め、少しキツネに近づいて、さっき言ったことを大声で繰り返しました。
キツネ(小さな声で):「うーん、まだよく聞こえないよ。もっと近くに来てよ」。
キツネは、耳の後ろに手(足とも言える)をあて、GBMのほうに首をのばしました。
GBMは、さらにキツネに近づき、もう一度大声で、同じセリフを言います。
GBM:「…… キツネさんにも僕をつかまえられっこないよ!」
キツネ:「おや、そうかな?」
そう言うやいなや、キツネは、GBMをつかんで、鋭い歯でバリバリと食べてしまいました。
参考にした話(英語)⇒The Gingerbread Man – Storynory
人を信用してはいけません
この話、すごくシンプルで、大人が読んでもそんなにおもしろくないと思います。
ただ、子供って、こういう話を好きですよね?
絵本を読んで聞かせると、キャッキャ言いながら喜んで、毎晩、読むのをせがまれるかもしれません。
このお話のメインの教訓は、「知らない人の言うことを信用してはいけません」となるでしょう。
それから、傲慢さをいましめる話でもあります。
GBMは、しょうがクッキーにすぎないのに、「僕は足が速い。誰も僕をつかまえられっこない!」という自信があり、おのれの能力を他人に見せつけたいという、強い自己顕示欲、または承認欲求があります。
だから、キツネに、「聞こえないんですけど」と言われたとき、近寄って、「だ~か~ら~、僕はこれまでこんな人たちを振り切って逃げてきたんだよ、キツネさんにもつかまらないんですってば!」と言うわけです。
キツネのことなんてほっといて、さっさと行ってしまえば、食べられることもなかったのに。
そもそも、ジンジャーブレッドマンが、なぜ逃げているのかよくわかりませんが。
オーヴンが熱かったから?
それとも、誰にも食べられたくなかったから?
なお、イギリスの民話を編さんしたジョセフ・ジェイコブス(Joseph Jacobs)の1890年のバージョンでは、Johnny-Cakeというタイトルだそうです。
よく絵本になっています。
コメント