グリム童話版のシンデレラのあらすじの続きです。
継母のいじめ
お祭りに行かせてと、シンデレラが何度も頼むので、継母は「灰の中に、このボール(bowl)の中のえんどう豆を投げる。2時間以内に拾い集めることができたら、舞踏会に行ってもいいわ」と言いました。
シンデレラは裏口から外に出て、鳥たちに、手伝ってくれるよう、叫びました。すると、白い鳩、キジバト、小鳥たちがやってきて、灰の中をつつき、えんどう豆を拾ってボールに入れ、1時間もしないうちにすべて拾うことができました。
シンデレラが、継母のところにボールを持っていくと、継母は、「1時間以内に、灰の中に入れたボール2つ分のえんどう豆を拾うことができたら、行かせてあげる」と言いました。シンデレラは前と同じように、鳥たちを呼び、鳥たちは前と同じように、灰の中をつついて、30分もしないうちに、すべての豆を拾うことができました。
しかし、継母は、「だめ、あんたはお祭りには行けないわ。ドレスもないし、踊りもできないし、あんたを連れていくなんて、とんだ恥さらしだからね」、こう言い放つと、まま姉2人と祭りに行ってしまいました。
ハシバミの木がくれたドレスを着てお祭りへ
シンデレラは、母親の墓に行き、ハシバミの木の下で泣きながらこう頼みました。
小さな木よ、揺れて、揺れて。
金と銀を落としてください。
するといつもの鳥がやってきて、金と銀のドレス、シルクと銀の刺繍がついた靴を投げてよこしました。シンデレラは、そのドレスと靴を身に着けお祭りに行きました。
継母もまま姉もシンデレラに気づきませんでした。シンデレラはとても美しかったので、外国のお姫さまだと思っていたのです。
王子さまがシンデレラの手をとり、踊りはじめました。王子さまは、ずっとシンデレラとだけ踊っていました。
シンデレラの追跡に失敗する王子
夜になり、シンデレラが家に帰りたいと言うと、王子さまは、「私が家までお送りします」と言いました。王子さまは、シンデレラがどこのお姫さまなのか知りたかったのです。
シンデレラは、王子から逃げて、家の鳩小屋に飛び込みました。王子は鳩小屋の前で、シンデレラの父が帰ってくるのを待ち、父親が帰ってくると、「見知らぬ少女が鳩小屋に隠れてしまった」と話しました。
「それはシンデレラなのだろうか?」
そう思った父親は、おので、鳩小屋の扉を叩き割って中に入りましたが、誰もいませんでした。父が家に戻ると、シンデレラはいつものように灰の中に横たわっていました。
というのも、シンデレラはすばやく、鳩小屋から出て、母の墓に行き、ドレスを脱いでそこに置いたのです。そして、鳥がドレスを運んでいってくれました。
2日目もシンデレラを見失う王子
次の日も、前日と同じように、シンデレラはハシバミの木にドレスを頼みました。すると鳥は前日よりもっときれいなドレスを運んで来ました。シンデレラそれを着て、祭りに行くと、待ちかねていた王子さまが手をとり、シンデレラとだけ踊りました。
夜になり、シンデレラが帰るとき、また王子さまは後をつけました。ですが、シンデレラは走って、家の裏庭に飛び込み、実がたわわになっている梨の木に、リスのようにスルスルと登ったので、王子さまはまたシンデレラを見失いました。
その3に続く・・・・
☆もとの童話はこちらを参照しています⇒ ⇒ Grimm 021: Cinderella
今回のポイント(penの解釈)
繰り返し
グリム童話のシンデレラは、シャルル・ペローのシンデレラより、口承で伝えられたおとぎ話の要素が強いため、おとぎ話によくある繰り返しがあります。
継母は、2回、シンデレラに豆も拾わせますし、王さま主催のお祭りは3日あるため、シンデレラは、3回、木にドレスを出してもらい(それを鳥が運び)、王子は3回、シンデレラを追いかけます。
あらすじだけを知りたい時、「この繰り返しはうざい」と思うかもしれません。しかし、おとぎ話とはもともとこういうものなのです。
おとぎ話は、口頭で話すものだったので、同じ言葉で同じようなできごとを3回繰り返しながら、しだいにサスペンスをもりあげていきます。
同じ言葉を使っていても、その出来事は、前回よりは少しずつスケールアップしています。そして、3回目がクライマックスです。
なぜシンデレラは王子さまから逃げるのか?
グリムのシンデレラは、べつに魔法が消えるわけでもないのに、王子さまから逃げます。なぜでしょうか?
素直に王子さまにつかまると、3回の繰り返しができない、というストーリー上の都合もあるでしょうが、私は、王子さまや、王子さまのシンデレラ探しを助ける父親は、赤ずきんちゃんにとってのオオカミと同じものを象徴していると思います。
つまり、女性にとって男性は危険な生き物なのです。
あらすじには書きませんでしたが、この王子さまは独占欲の強いタイプらしく、お祭りで、ほかの人がシンデレラに踊りを申し込むと、「この人は私のパートナーです」と言ってシンデレラの手を離しません(繰り返しがあるので、毎回そうです)。
グリムのシンデレラは、ペローのシンデレラと違って、意志や行動力があるので、自分に害を与えるかもしれない王子さまに、そんなにやすやすとはつかまらないのです。
「女性はそうあるべきだ」いうモラルを、このお話は伝えたいのではないでしょうか?
続きはこちら。
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