私が『シンデレラ物語』を好きな理由

愛の物語 『シンデレラ物語』について

このアニメには、さまざまな魅力がありますが、特に私が好きなポイントを5つ紹介します。

なお、私は仏語版でずっと見ているので、シンデレラのことはサンドリヨンと呼んでいます。

シャルルとサンドリヨン

一番の魅力は、シャルルとサンドリヨンというカップルです。

この2人は最終的に結婚しますが、それまでに、半年ぐらいかけて(2人の付き合いが、アニメの放映された時期と同じだとすれば)、関係を深めています。

結婚して当然だ、と思うに足るバックストーリーがあり、とてもロマンチックな物語になっています。

シャルルはずっと王子様ではないシャルル(うそつきシャルル)として、サンドリヨンと行動をともにします。

サンドリヨンは、王子というステータスのない、素のシャルルにひかれるのです。

サンドリヨン自身も、シャルルと出会った時期は、義理の家族に女中にされてしまった、人生で最悪のときでした。誰かのために、自分をよく見せる心の余裕なんてありません。

サンドリヨンは、シャルルには、素顔の自分を見せていました。継母や義理の姉には、サンドリヨンは従順ですが、シャルルには、わりと強く出ています。

サンドリヨンは、一度病気になり、シャルルにぼろぼろの屋根裏部屋を見られています。

シャルルは、そういうものをひっくるめて、サンドリヨンを好きなのです。

この2人は、出会うべくして出会ったという強い絆を感じさせます。

シャルルのダブル・アイデンティティ

シャルルは街に出るときは、一般人のふりをしていますが、王子様として登場するときもあります。

王子様のシャルルは、国中の若い女性のあこがれの的ですが、一般人のシャルルのときは、まるでもてないばかりか(慕っているのはサンドリヨンだけ)、お調子者だとか、ばかだとか、相当軽んじられています。

どちらのシャルルのときも、顔はまったく同じなのに、着ているものが違うだけで、人々の態度が大きく違うのです。

また、シャルルにそっくりの役者のマルセルが、王子様の服装をすると、皆がマルセルを王子様だと信じて疑いません。

この国の人は、服装だけで、人を判断してしまうのですが、ここまで極端でなくても、見かけに簡単にまどわされるのは、現実の世界の人間でも同じです。

このあたり、製作者は意図していないでしょうが、かなり人間を風刺しています。

バラエティに富んだエピソード

毎回のエピソードがバラエティに富んでいておもしろく、飽きさせません。

1話、20分ぐらいですが、そのあいだに起承転結があり、うまくその回で完結します。

冒険物語ふうのもの、とてもユーモアのあるもの、サンドリヨンのやさしさがよく出ているもの、などなど。

そのうえ、あらすじにも書きましたが、シャルルとサンドリヨンの物語と、ザラール公爵の陰謀という大きなプロットもあり、ストーリーが進んでいくにつれて、こちらも進んでいきます。

複数の脚本家がシナリオを書いていますが、うまくつなげているなあと思います。

場面にあった音楽

サウンドトラックもいいです。すべてシンセサイザー(打ち込み)で作っていると思いますが、それぞれの場面にあっていて、印象的な曲が多いです。

実際、イタリアでは、このアニメのサウンドトラックのCDが出ているぐらいです。

音楽についても、おいおい紹介していきます。

なお、フランス語版のテーマソングは、フランス語版独自のもので、この曲も可愛くて大好きです。

登場人物の性格づけ

登場人物の性格づけにも成功しています。

たまに、「性格変わった?」と思うときもありますが、ほぼ、許容範囲内です(許容できない点については、次回の「不満なところ」に書きます。

登場人物の中で私が一番好きなのは、シャルルです。

彼は、物語が進むにつれて、次第に成長していきます。この物語の主人公は、サンドリヨンですが、サンドリヨンより出番の少ないシャルルのほうが目立っていると思います。

もし、これが実写だったら、シャルル役の男優は完全にサンドリヨン役の女優を食っている、というレビューがつくでしょう。

サンドリヨンは、最初は活発なのに、女中扱いされてこき使われているうちに、尊厳を失ってしまったのか、毎回シャルルに助けられているうちに、頼る女になってしまったのか、どちらかというと、人格が後退していっているのでは? と思う部分があります。

ただ、これは、原作の「シンデレラ」の重要なシーン(舞踏会で踊ってから、靴を落として帰ってくる)を盛り込む都合上、そうなってしまったのかもしれません。

私が、サンドリヨン役でも、「ここは脚本を書き換えてください」、と監督に言うものの、事務所やマネージャーに「まずいですよ、penさん、干されてしまいますよ」になだめられ、しぶしぶ、いじけた女を演じてしまうのでしょう。

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